突然四肢麻痺

長期入院中の統合失調症+慢性関節リウマチの70歳♂が全身脱力で易転倒。始めは膝の「関節炎の悪化」を考えたが、あっと言う間に四肢麻痺になった。「ギラン・バレー」?と思って神経内科に相談したら「頚椎症で手術が必要だ」と。近所の大学に相談して、脊椎…

うつ感覚のフラッシュバック

僕のうつ病が寛解し、もう4年になろうとしている。治った当初はうつの時のことは何も思い出せなくて、精神症状は記憶に残らない、と感じたものだったが、この頃、何かのきっかけで、うつ当時の感情・感覚が突然フラッシュバックのように意識されることがある…

薬屋さんの宣伝

今日は大塚のエビリファイの薬の説明会。MRは「この薬は副作用は少なく効果は高い」とおっしゃる。サービスの弁当を食べながらだと、つい聞き流してしまうが、後で考えるに、それは多分誇大宣伝なのだ。←のグラフに公表された副作用の率と効果の率を示したが…

白衣高血圧

今までも時に血圧が高くなる事があったけど、測り直せば正常になっていた。今年になって、測り直しても高いままの事が何回かあって、血圧計を購入し、色んな時に測ってみた。一番高かったのは、外来で診察してる時で、特に新患・急患の診察の後。具合の悪い…

僕の患者さんのブログ

同僚に教えて貰って、今僕の外来に通院中の患者さんのブログを見た。匿名ではあったが、顔写真は彼に間違いない。以前の入院について、任意入院だったのに、「ムリヤリ入院させられた」とあり、施錠しない個室に入ったのに、「保護室に閉じ込められた」とあ…

Nさんの転倒

近所の施設に入所中の81歳♂アルツハイマー型認知症患者のNさんは3年前に右大腿骨骨折の手術をしたのが始まりで、左手骨折→左大腿骨骨折、と続き、今回は右肩関節骨折で4回目の入院となった。まだ歩行も可能で、トイレも食事も自立していた人なので、今回も手…

多数決では決まらない

確か小学3年の時に、「何かクラスで意見が分かれた時は、皆で議論した後に採決をして多数意見を採用するのが民主主義」と教わったが、実際は担任先生様の意見がクラスの意見であることに気づくのに時間はかからなかった。社会に出ても、重大な決定を多数決で…

リーバーマンVSウィタカー

アメリカ精神医学会(APA)の会長ジェフレイ・リーバーマン(The Shrinks-The Untold Story of Psychiatryの著者)と、精神疾患に安易に薬を使う事に反対する現代の反精神医学の旗手ロバート・ウィタカー(mad in america主催、心の病の「流行」と精神科治療薬…

転勤難民

毎年この時期外来が少し荒れる。医局派遣の医師が移動すると、残された患者の中には新しい医師との関係がうまく行かなくなって、所謂ドクターショッピングを始める患者が出てくる。僕は密かにこの患者達を難民と呼んでいる。今年は常勤医が2人も移動したので…

人道支援て何?

最近、国際ニュースから目が離せない。「国連が仲介し、イエメンの停戦が発効し、その間にユニセフが支援物質を配布した」と記事が出た。国連加盟国同士が紛争を始めた場合、人道支援の名の元に国連が紛争地へ食糧等を届けることは常態化している。確か、日…

自己暗示病?

27歳♂新患さん。「人間関係が上手く行かなくなったり、会社で仕事が思うように進まなくなると、自分で自己暗示を掛けて体を動かなくさせてしまうのだ」という。初めての時は22歳で、通勤電車のなかでやってしまい、終点で救急搬送された病院に3日入院したと…

Kさんが退院を諦めた

長期在院中の統合失調症のKさん♂65才は、イワユル社会的入院である。母が本人の具合の悪かった時の事を言い立てて、強硬な退院反対運動を続けていたのだ。僕もケースワーカーも何回となく退院を勧めたのであるが、そのつど母が反乱し、病院に来なくなり、治…

親の死後のサバイバル

67歳♂のTさん統合失調症が「精神症状悪化」ということで救急車で搬送されてきた。慢性の幻覚妄想状態ではあるが、発症後40年一度も入院したことはない。近所でのトラブルは結構あったが、その都度、両親が「家族でガンバル」と外来で通した。仕事は断続的に6…

「手足が勝手に動く」病

今、診断に困っている。パーキンソン病+認知症で入院した患者66歳♂。街中徘徊しそこらじゅうで転倒する。面倒見ていた神経内科の先生がついにギブアップし、当院に入院となった患者さん。彼の言い分は、「足が勝手に動く」というもの。初めは誰も信用しなか…

やっぱ胃廔反対!

末期患者に最後まで口から食べさせたい。そう思う人は多いが、実はそれは殺人行為なのである。僕が研修医の頃は「窒息も誤嚥も寿命のうち」と考えていて、多少具合が悪くても患者さんの好きなように好きな物を食べさせていた。その結果60才過ぎると肺炎で死…

警察が遅い!

グローバリゼ―ションに賛否両論が有るにしても、日本の司法・警察は欧米に対し遅れが目立つ。経済は追いつき追い越せになって久しいのに、この司法・警察の遅れはどうした訳だ? 戦前の高等警察のトラウマもあるんだとは思うけど、未だに日本の警察は「民事…

春がきて、大量殺人

Aさんは女性のベットに潜り込み、Oさんは廊下で歌を歌いながら放尿。Sさんは徘徊スピードが上がって、角を曲がり切れずに壁にブツかった。MさんとTさんは風呂場で殴りあい、K君は幻聴が強くなったと自分の顔を自分で殴って唇から出血。隣の病棟では女性患者…

データを見せてくれ

半分は嫉妬で言うんだけど、斉藤環先生はイマイチだ。彼は余りに建前論だ。彼は先日朝日新聞で、曽野綾子さんの人種差別/区別発言を許してはいけない、と言っていたけど、確かに彼の意見は評論家としては正論であろうが、人種差別/区別問題がどうして起こる…

父の決断

K君もW君も父子家庭で、いわゆる社会的入院中。K君はこの10年で4回入退院を繰り返していて、今度の入院後3年になる。以前はK君の幻聴が移って、父子で転居を繰り返した程の息子思いの父75歳は、最近はくたびれてきて自身が介護保険を受け、また車の免許も返…

加藤智大の死刑反対

内閣府の世論調査では日本では死刑容認派が8割だそうで、死刑廃止派は1割に満たないのだと言う。基本的人権と誤審の現実を理性的に考えるなら、死刑廃止は当然の結論と思う。グローバリゼーションを急ぐなら捕鯨より先に死刑を廃止しなくちゃと思う。が、し…

2階から飛び降りる

2階から飛び降りて救急搬送される人は少なくない。僕の経験の30人の飛び降り患者の中でも6人いる。救急医は「自殺企図」と言うけど、当の本人は自殺を否定する場合が殆どだし、常識的に考えても「2階から飛び降りて死ねる」と思う人はまずいないだろう。先…

拘束は虐待!?

去年ホメた(2014.11.11)制度外老人ホームでの拘束が、区役所で虐待と認定されたと今日の朝日新聞に出ていた。拘束が必要な要介護老人は介護の現場では嫌われ者で、行き場がない。だから拘束老人が精神科病院に集まるのだと思うけど、介護保険から考えれば…

元うつ患者が猟銃の免許申請

以前より周囲と問題を起こしては、体調不良や抑うつを訴えて通院していた元患者Sさん♂32才(2012 4.18にも登場)が、今度は「猟銃が欲しい」と警察に申請したらしい。「うつは治ったし今は薬も飲んでないから問題ないはずだ」と本人が主張する。警察は「また…

内海聡を読んだ

読んでみてビックリ。こんな本が売れてるんだから世も末だ。著者本人は否定しているけど、サイエントロジーの受け売りでしょうね。サイエンはアメリカでは結構勢いがあるらしい。医者は非科学的な事は言えないが、サイエンは自称宗教で、だから、何を言って…

過激派と穏健派は分かれない

イスラム穏健派と過激派を分けて、穏健派とは仲良くしよう、という穏健な主張がある。でも、「分割して統治せよ」は悪しき植民地主義の遺物でしょう。「文明の衝突」のサムエルハンチントンの言うように、宗教は穏健派と過激派に分けられるものではない。イ…

認知症老人は危険

去年、認知症老人が電車に飛び込んだ事故に関連し、患者を轢いた側のJR東海が、患者の家族に対して、患者の監視不十分として損害賠償を請求する裁判を起こしたのがきっかけで、認知症患者の起こす事故の責任がどこにあるか、マスコミで問題になった。当時マ…

またサイコパス

去年の佐世保の16歳♀に続いて(2014 8 2のブログ)、今度は名古屋の19歳♀。「人を殺してみたい」と公言し、動物を虐待し、なたや毒薬を持ち歩いていた人が、宗教の勧誘に来た人をなたで殴り、紐で首を絞めて殺したらしい。警察は精神鑑定するようであるが、こ…

認知症の早期発見キャンペーンはムリ筋

WHOや厚生労働省がする「○○の一つ覚え」のうちの一つが、病気の早期発見だ。昔、伝染病で上手く行ったことは認めるが、こと精神科では今までは全滅だった(精神遅滞、ADHD、自閉症、登校拒否、うつ病、PTSD、統合失調症等)。現場は誤診や誤治療で混乱し、実…

精神病患者の脱・施設化は失敗

某新聞に又精神病患者の脱・施設の記事が載っていた。イタリアの様に病院を閉鎖して、地域の受け皿は臨機応変に、という御気楽な論調であったが、最近OECDの手先が日本に来ていたから、記者がお先棒を担いだのだろう。でも、まともな精神科医でこのイタリア…

人間の淘汰が始まった

世界中で殺し合いが始まった。中国でのウイグル人の暴動で始まって、イスラム国での首切り、アメリカでの強盗黒人の射殺、アフリカの学校での自爆テロ、で今度はフランスのマホメットの風刺画家と警察官殺害事件だ。殺人は本能か教育か? デーヴ・グロスマン…