2014-01-01から1年間の記事一覧

留置所で拘禁反応が放置

僕の患者(統合失調者45歳♂)が街中でホームレスと喧嘩して警察に拘留され、措置にも入院にもならずに在宅起訴となった。A鑑定医が入院不要としたらしかった。裁判が始まると情緒不安定になり、時にはパニック様の錯乱発作に陥るようになってしまった。家で…

Brittany MaynardさんのDeath with Dignity

脳腫瘍末期の29歳♀が医者が処方した致死量のバルビタールを飲んで自殺した。アメリカオレゴン州ではこれは合法であり、尊厳死というらしいが、いったい何が尊厳で、何が合法なのか、理解に苦しむ。彼女の「死にたい」は、ナチスに追われて自殺したユダヤ人や…

ボーダラインおばさん、死す

64歳♀。若い頃から問題少女で、40歳過ぎて離婚してから大ブレイク。年に数回は過量服薬やリストカットまた記憶喪失やら近所ゲンカで精神科や一般科の救急に運ばれ、そのつど死ぬの生きるので警察を巻き込んでの大騒動を起こしていて、そのつど主治医(つまり…

マララさんの精神病理

ノーベル賞のマララさんの言動に不安を感じる。17歳で世界平和を論じる彼女の意見にはは全くない。彼女は、WHOとか西洋の平和主義NPOとか、さらには彼女の父の広告塔と化してしまっているようだ。手術後には医者になりたいと言い、今はパキスタン首相になる…

逃げるが勝ち

精神障害者の息子の家庭内暴力に悩み息子を殺した父が執行猶予となった事件で、息子の主治医が「医療保護は難しいけど、措置入院なら受ける積りだった」と裁判で証言したらしいが、その主治医の判断の正当性が医局で話題になった。A医師は「措置で受ける積り…

Sandra Steingard 先生のブログ

アメリカの精神科開業医のサンドラ先生は、「抗精神病薬は身体に良くないから、薬はゆっくり減らしていき(3-6か月で2割減らす)、可能なら断薬しましょう」と主張している先生で、最近自分のブログhttp://www.mentalhealthexcellence.org/tapering-neurolep…

癌のメンタルサポート

手術後の癌患者はうつ状態になることが多い。で、うつの治療を希望して精神科に回ってくる。担当した精神科医は色々努力はするが、結局上手く行かずに患者や家族をさらに絶望させることになる。僕は、癌患者の「うつ」と「癌」は別々に対応することは出来な…

たらい回しで精神科

隣町のIさん軽度知的障害♂55歳。親が死んで一人で生活困難。町のあちこちで倒れて救急車であちこちの病院に運ばれるが、「異常なし」で帰される。いよいよ行ける病院はなくなって、救急車から「精神科の先生で良いから診て」と言われて引き受けた。診て見る…

看護師の妊娠

いつも元気な看護師のH さん30歳♀の様子がこの頃変だ。注意集中困難で、仕事が手についてない。と思っていたらついに休んだ。こりゃ大変、多分うつだ、職場で虐められてたかな?なんて考えて、意を決してこっそり話を聞いてみたら、「実は妊娠で、つわりがき…

制度外老人ホームはエライ

朝日新聞で無認可老人施設での隔離拘束が記事になっていた。僕の周りでもビックリしている人は多かったが、確かに160人中130人が隔離拘束されているのはレアなケースであろうが、その頻度の問題を度外視すれば、それ以外は僕ら現場の人間にとっては常識的な…

飲まず食わずで10日間!

今年の2.25のブログに登場した75歳のDM末期の患者さん♂。すっかり認知が進み、ついに食事食べなくなって、意識がもうろうとなってきて、老衰のパターン。家族と相談し、点滴は中止し、禁飲食で看取りの態勢。2日後に昏睡状態で、脈が40を切り、尿が止まり、…

精神医療ダークサイド

某読売新聞記者の書いた「精神医療ダークサイド」を読んだ。感想は「マスコミの記事は某朝日の記者の「ルポ精神病院」からちっとも進歩していない」だ。精神医療の現場の諸問題を取り上げるのに医者を悪玉にしたてるのは一番安易なやり方だと思う。でも、実…

袴田さんの拘禁反応

本年3月に元死刑囚袴田さんが釈放され、半年すぎたけど、彼の拘禁反応は直っていないようだ。拘禁を解除すれば直るハズの拘禁反応がどうして直らないのか、不思議だ。僕の知ってる拘禁反応者は、釈放されると数か月で皆症状は消失したし、教科書にもそう書い…

新患さんはリストカッター

先日の新患はリストカッター。25歳♀だったので、断れずに受けたけど、やっぱり僕には診れないと思いを強くした。本人はそれなりに一生懸命生きている、悩んでいる。両手首に10個位の傷。一つは新鮮。「リストカットを止めたい、リストカットを止める為には何…

セルフネグレクト?

天涯孤独の70歳引きこもり。65歳で退職後も社宅に居続け、生活が次第に乱れ、万年床で、「腹は空くのだが、買い物に行くのがメンドクサイ」、と、去年くらいから買い物にも行かなくなって、心配した近所の人達が持ってくる差し入れだけで生活していたが、最…

Y Dr殴られる

再発を繰り返してはあちこちで入退院している躁うつ病53歳♂。この頃また躁状態になり、家族が当院に連れてきて、外来で放り出した。受付もせず1番の診察室に無断で押し入り、そこで診療中であった旧知の元主治医Y Drに対し、以前の強制入院について抗議を始…

死んじゃダメだ!

佐世保同級生殺人事件犯人の父が自殺した。充分予想出来た結末だ。彼に同情する人は少数派で、大半の人は「自業自得」と思っているようであるが、でも、それじゃ、福島の強制避難後自殺した人(渡辺さん)も自業自得なんじゃないだろうか? 裁判で、「自殺の…

親父の悩み・僕の悩み

僕の親父様(動脈硬化症、腹部大動脈瘤摘出後、冠動脈に3本のステント、BNPは200)88歳が、今血圧ノイローゼだ。強い降圧剤を3種類飲んでいるが、血圧が安定しないという。散歩することもなくなって、血圧ばかり測っているという。1日に10回以上測っていて、…

休むのが難しい

連休が落ち着かない。2日目になると何か病院で事件が起きているのでは、と不安になり、落ち着いて外出も出来なくなってしまう。医局にいた頃は連休など思いも寄らなかったし、その後就職してからも日曜も2回に1回は何かしら連絡が入ることが多かった。10年位…

首切りビデオ

イスラム国での首切りビデオにハマっている。某チューブではもう見れないが、グーグルではまだ見れる。毎日、繰り返し見ている。家族や友人は全く興味を示さないので、僕は少し変わっているのかしら、と反省はするが、やはり見てしまう(www.barenakedisulam.…

白>黄>アラブ?

僕は西洋コンプレックスだ。科学にしても、基本的人権にしても、民主主義にしても、日本のはどうも怪しい。神風特攻隊や切腹など、どうも日本人は縄文時代からの原始的な、非啓蒙的なものを引きずっている。丁度、今の北朝鮮のように。江戸時代、南蛮渡来の…

自殺は東電の責任?

東電の原発事故で避難中に自殺した人の遺族が東電相手に自殺の責任を争った裁判で、裁判所は因果関係を認めた。残された遺族の苦しみは分かるし、確かに東電は悪いやつだが、だから自殺も100%東電のせい、というのは非科学的と思う。「人が死ぬのは他人の呪…

今年2例目

先週、今年2例目の自殺。1例目は入院中のアルコール患者さんだった(http://d.hatena.ne.jp/satochan8/20140410/1397131701)。その気持ちの凹みも回復しないうちの、今度の2例目は去年リストカットの自殺企図で回ってきた(http://d.hatena.ne.jp/satochan8…

伊予市の17歳の暴行死事件

伊予市の17歳♀の暴行死の問題で、マスコミは児相や警察が阻止出来なかった事を問題視しているようですが、これは実は、法律の問題なのであります。今の日本の虐待防止法では警察の立会は全例必須ではなく、また、虐待の定義にセルフネグレクト(本人が虐待を…

尿が10リットル

長期入院中の統合失調症のOさん55歳♂が、この頃太ったと思っていたら、昼食完食後、歩行困難になった。意識ももうろうとしており、ベットに寝かせようと近寄ってみたら、皮膚がパンパンに張っていて、膀胱もパンパン。あわてて尿道カテーテル挿入したら、出…

臨終現場の幻想

人間が死ぬとどうなるか? 身体的な現象は科学的に理解可能だが、魂の問題が残る。臨終の現場ではまるでこの魂が身体から抜け出ることが死であるように進行する。臨終に立ち会う殆ど全ての人が、患者の魂が死後もどこかにあるように行動する。研修医の頃は、…

笹井氏自殺

自殺予防なんか出来っこない。人間はその気になれば何時でも何処でも死ねるのだ。そんなこと精神科医なら皆知ってる。院長に言ってみたら、「真実を言わないことも医者の仕事」と言われた。医師会が盛り上げた富士モデルと言われた自殺予防キャンペーンは見…

自動車運転ガイドライン

学会で出した患者の自動車運転に関するガイドラインを読んだ。精神病の運転禁忌は根拠がなく、薬の自動車運転禁忌も根拠はない。しかし、具合の悪い時は夜運転を控える、などのアドバイスは必要で、そのアドバイスを患者が聞かない時は、警察に申告すること…

佐世保殺人事件

佐世保の高校生の殺人事件の話題がネット上に氾濫しはじめた。ネット上の精神科医の意見の大半は、「彼女はサイコパスだから、医療ではどうしようもない」、のようであるが、僕も同意見だ。数か月前に診察して児相に相談した精神科医の行為が話題になってい…

痛み止めになった向精神薬

精神科の薬が他科のあちこちで派手に処方され始めた。今までも、慢性の重症の頭痛や腰痛で、身体科で持て余すと「心因性疼痛」とか言われて精神科に回されてくる患者は少なくなかったが、そんな時には坑うつ剤や坑てんかん薬で痛みが軽減することがある事は…