痛み止めになった向精神薬

 精神科の薬が他科のあちこちで派手に処方され始めた。今までも、慢性の重症の頭痛や腰痛で、身体科で持て余すと「心因性疼痛」とか言われて精神科に回されてくる患者は少なくなかったが、そんな時には坑うつ剤や坑てんかん薬で痛みが軽減することがある事は精神科医の常識であった。だから、これらの薬を試しに痛み止めとして使うことは他科でも許されるとは思う。思うが、多分、効果の程は1,2割だ。この、効果1,2割の薬が薬屋さんの誇大宣伝の手にかかると、ほぼ全例に著効するような言い方になってるし、副作用も、2,3割、とこっちは過小である(同じ薬なのに、精神科領域では7割位)。でもまあ、「他科の先生が処方するんだから、こっちにくる患者は減るだろう」と思っていたら大違いで、他科から、「向精神薬が効きませんが如何してでしょう」と紹介されてくる患者さんが増えている。また、痛み止めとして過量服薬し運ばれてくる人も出てくる始末。「向精神薬が痛みに効く」と言っているのは、薬屋さんであって、処方した先生精神科医ではない。なのに患者は精神科医にモンクを言いに来る。これは不合理、不条理、逆恨み、だと思うんだけど、モンク言う患者さんには、薬屋と精神科医の区別はつかないようなのであります。困ったね。