2010-01-01から1年間の記事一覧

寿命について

今日、80歳の僕の患者が死んだ。医者は寿命を操作することはできない、と思う。外科医に有名な諺で、「手術は医者がするが、治すのは神」というがあるが、つくづく本当のこと、と思った。その患者は、脳卒中を繰り返し、半年前、せん妄で僕の所にやって来た…

統合失調症者の長期予後は?

この所、どの文献を見ても、この頃は統合失調症者の長期予後は良くなった、と記してあるが、根拠となるデータは皆外国のものであり、日本でのデータは見当たらない。僕の外来に平成1年に継続通院していた慢性(発病5年以上)統合失調症者の20年フォローのデ…

マスコミ精神医学?

昨日もまた、「テレビで見たんですけど…」と外来に相談者がやってきた。30代のニートの息子とその母。母が言うには、息子がテレビで言ってた「買い物中毒」にそっくりだ、というのである。そして、そのテレビに出た精神科医は、「放っておくと悪くなるばかり…

統合失調症者には認知障害があるのか?

最近の精神医学では統合失調症者には認知障害が明らかである、と言われる。さらに認知障害こそが基本的な障害である、とまで言う人がいる始末である。統合失調症概念の産みの親であるE.ブロイラーは、認知障害に見えるものは観念連合の障害であると言い、K.…

措置入院の判断は科学的か(患者の自傷他害の予測は可能か)?

措置入院とは、2人の精神保健指定医が2人とも、患者に自傷他害の危険が切迫していると認めた場合に強制入院させることが出来る制度であるが、医学的に“患者に自傷他害の危険が切迫している”と診断する根拠は実は薄弱なのである。 精神病患者の暴力リスク評価…

警察VS精神科医

警察が社会的に問題の多い患者を連れて来て、入院を希望することは稀ではない。本人は「自分は誰にも迷惑はかけていない」、と入院を拒否するが、家族は警察に反対は出来ず、後は精神科医が承諾すれば医療保護入院となる訳である。警察が本当にその人が治安…

医療保護入院は怪しい

医療保護入院は怪しい。家族の同意があれば、1人の指定医の判断でいとも簡単に(数分で)、期限もつけずに(永久の人もいます)、入院出来ちゃうなんて、時代錯誤も甚だしい、と僕は思うのであります。その人が精神病かどうか、治療が必要かどうかは、本当は…

認知症(痴呆)老人のケアの場所

精神科では、 BPSD(認知症に伴う行動障害と精神症状)という症状群が知られていて、認知症患者に一定の率で(10から70%)起こる症状ですが、このBPSDが結構凶暴になることがあり、刃物は振り回すは放火はするは器物を壊すはで、家族や地域を巻き込んでの騒…

精神病者の暴力

慢性精神障害者のメタ・症状 陽性症状(エピソード関連症状、残遺症状) 気分変化(躁・うつ・焦燥・不機嫌) 陰性・自閉(2重見当識、個人神話、性格変化) 突発的短絡行動(反社会的行為・暴力/自殺) 認知症状(痴呆類似症状、滅裂状態) ○○ 昔は「精神病…

メンタルヘルスは怪しい

日本で自殺者が増えている。交通事故死者が年1万人を超えた時は、交通戦争と言われたが、今や自殺者は3万人(東京マラソンの参加者数に同じ)である。で、本年9月に政府も医師会も自殺予防のキャンペーンを行なったが、そのキャッチフレーズは、「お父さん、…

王様の耳はロバのミミ

僕は、50代の臨床精神科勤務医(開業医じゃない)です。精神科医がこんな所で、精神科の悪口を言うのは可笑しいんだけと、どっかで言わないと僕の頭がどうかしちゃいそうで、だから、聞いてくださいね。 精神障害者さんたちと付き合って、患者さんのこころの…