医療保護入院は怪しい

 医療保護入院は怪しい。家族の同意があれば、1人の指定医の判断でいとも簡単に(数分で)、期限もつけずに(永久の人もいます)、入院出来ちゃうなんて、時代錯誤も甚だしい、と僕は思うのであります。その人が精神病かどうか、治療が必要かどうかは、本当はそんな簡単に分かるはずがないってことは皆承知の上なんです。ちなみに医療保護入院者は増え続け、平成20年で17万人を超えています。措置入院者が減り続けて2千人を割っているのに、です。
 警察や近所の人などがその患者を「めんどくさい」とか「うっとおしい」とか「変な目つきで見られた」と思ったら、患者の家族にプレッシャーをかければ、家族は村八分はイヤだから、病院に連れてくる。精神病患者であれば、社会適応にどこか問題があるのは当然だから(これは定義の問題)指定医も入院を断れない(家族に「何か起こってからでは責任が取れない」と言われるのが一番キツイ)。そうやってどんどこ入院させといて、「精神科病院のベット数は多い」と言われても、これは法律がそうなっているんじゃ!としか言い様がないと思うのであります。それなのに、この医療保護入院の条項に問題がある、と言う人がいないのはどうしてなんでしょうね? 精神病者だって人間なのに、これじゃ犬猫扱いではないかと思うのであります。
 精神病の啓蒙の講演をして、患者の人権を地域で守ってあげましょう、と言う話をした後、「地域の'問題’患者をどうやって入院させたら良いか?」という質問が必ず出るのにはイヤになってしまいますが、まあ、日本はそういう社会なのでしょう。患者を地域に、と言ったって、地域ってどこですか?と思ってしまう。退院患者がゆったり出来るのは、患者のためのデイサービスなり、作業所でしかない。精神病者は地域では患者と分からないように、こっそり生きて行かなければならないのであります。サビシーけどホントの話。「患者の人権」とか言う前に、日本が法治国家かどうかを議論する必要があるのです。基本的人権とか憲法や法律に保障されても、そんな法律は世間様にはかなわない、というのが現実であります。アメリカだって黒人が大統領になったからって人種差別がなくなった訳じゃあないから、日本だけの問題じゃないんだろうけど、、。精神病患者は暴力的である、というのはどうも本当のことでありそうですが、それだって、そのレッテルのせいで差別されることが原因ではなかろうか、と思うのであります。差別・偏見反対!!