警察VS精神科医

警察が社会的に問題の多い患者を連れて来て、入院を希望することは稀ではない。本人は「自分は誰にも迷惑はかけていない」、と入院を拒否するが、家族は警察に反対は出来ず、後は精神科医が承諾すれば医療保護入院となる訳である。警察が本当にその人が治安上の問題と思うなら、起訴すれば良いし、措置入院の通報をするのが筋でしょう。総じて警察は不躾である。警察官は、世間で一番エライのは警察である、と本気で信じているし、世間一般人もそう信じている。「治療は医者に任せてくれ」といっても、「事件を起こしてからでは遅いのだ、患者はキチンと治るまで入院してなきゃダメだ」とまるで治療者のような事を言いだす人もいる。何か有った時に素早く対処するのが警察のお仕事のはずでしょうに。
 逮捕された患者の治療の要否は警察が決め、鑑定で医者が何を言おうとそれは参考意見。逮捕後薬を貰えず発作を起こしたてんかん患者を知っている。僕は、不起訴となった患者の不起訴後の鑑定で、入院させない判定をしたことがあるが、警察があちこち手を回して、結局その患者は別の病院に入院させられたのであった。そして、「警察に逆らって商売になると思っているのか!」と凄まれたのであります(その患者の不起訴の鑑定をした某大学医学部の教授にも凄まれましたが)。他にも、退院が迫った患者の退院を阻止しようと「○○の退院は認められない」と直談判にきた警察官もいたし、また、連れて来る途中でその人の肋骨を折ってしまった(ハズの)警察官は否認を通したのでありました(日本では警察官を取り締まる人はいない)。
 総じて日本の警察は法律を気にしない。大酒飲んで暴れている人や覚せい剤で幻覚見てる中毒者を病院に連れて来て置いて帰ろうとするが、これは法律上は現行犯逮捕のはずであろう。患者が電話で110番をすると「患者に電話をさせるな」と病院にクレームを付ける(電話は自由のハズ)。ホームレスを連れて来て「1日入院させてやってくれ、福祉と話はつけてある」、と言う。
 そうかと思うと、妙な所でプライバシーを尊重する。刑務所に入っていて、退所後すぐ覚せい剤やって街を徘徊してた人を、ただの放浪者として連れてきて、「住所不定無職」と言って置いてってしまう。本人に聞いたら刑務所帰りというので、警察に確認したら、「それは知っていたが、プライバシーなので黙ったいた」と言う。
 それから…とキリがないのでこの辺でお終い。軍人やテロリストより良いだろう、と言う人もいますね確かに。