王様の耳はロバのミミ

脳の画像

 僕は、50代の臨床精神科勤務医(開業医じゃない)です。精神科医がこんな所で、精神科の悪口を言うのは可笑しいんだけと、どっかで言わないと僕の頭がどうかしちゃいそうで、だから、聞いてくださいね。
 精神障害者さんたちと付き合って、患者さんのこころのケアを30年やってますが、人の話を聞くってのも、結構しんどいんですよね。自分は今迄何やってたんだろう、と悩む日が続いています。認めるのは辛いけど、仕事に疲れて(飽きて)きているようなのです。一生懸命やっても患者に感謝されることはアンマリないし(特に入院の場合は)、僕の所で治療を始めた患者の半分くらいはドロップアウト(他へ行っちゃう)で、良くなって治療終了する人は稀で、大抵の患者は段々悪化してゆき、僕はそれをどうしようも出来ない…。WHOとかじゃ精神病は治る病気になった、とか言ってるし、日本の政府も「うつは治せます」なんて言ってるけど、僕の患者は治らない、治せない。僕にとっては精神病は、未だに告知するだけの、治らない病気、というか、本当に精神病は病気なんだろうか?と疑ってるんですよね、実は。僕が藪医者だから、というのはそうなんだろうけど、抗精神病薬SSRIなどの抗うつ剤の効果が誇大宣伝されてることは間違いないと思う。精神病の治療にもガイドラインがあって、アメリカやイギリスのそれには、治療はオプティミスティックにしましょう、なんて(平気で)書いてあって、患者・家族に希望を持たせることは良いことです、とあるけど、それは詐欺でしょう、と思ってしまう。精神科にも流行があって、その流行に乗り遅れているは分かっているつもりですけど、科学的な学問に流行があるってのは変だと思いませんか?本当に治るものなら、オプティミスティックになる必要なんか全くないはずでしょう。エビデンスがないから信じましょう、となるんだよね、多分。
 諸悪の根源は、診断基準だと思う。一般の人は医学的な基準なんだから科学的な根拠(エビデンス)があるんだろうと信じてしまうのだけれども、精神の科学的な定義も出来ないのに、精神障害の診断基準もあったものではないだろうことは、ちょっと考えれば誰でも分かりそうなものでしょう。実際にDSMとか、ICDとかいう基準を作った人は、これはあくまでも暫定的な、例示的なものにすぎない、と(初めは)言っていたのである。それなのにいつの間にか、絶対的な真実扱いを受けるようになっているのですね。ヨーロッパ中世の魔女裁判だってこんな幼稚なマニュアルを使ったものじゃなかったと思うのであります。うつ病が増えてます、なんて言ってるけど、それは診断基準を甘くしたせいじゃないんですか、という話になっているんです。PTSD(外傷後ストレス障害)とか、ADHD(注意欠陥・多動性障害)とか、診断基準で色々な病気を定義して、それで、みんな、みいーんなみんな治療しましょう、という変てこな話になっているんですよね。で、世界中の薬屋さんが大儲けしてるんですよね(ちなみに世界的に売り上げNo1の業界は兵器産業で、No2が製薬会社)。
 そんな下らない仕事辞めちまえ、と言われそうですが、今さら転職は出来ないし。。。職場で言える話じゃないし、患者には当然言える話じゃないし、気づいて見れば愚痴を聞いてくれる友達もいないし、妻や子供とは話ができないし…僕の話を最後まで聞いてくれて、有難うございました。