マスコミ精神医学?

昨日もまた、「テレビで見たんですけど…」と外来に相談者がやってきた。30代のニートの息子とその母。母が言うには、息子がテレビで言ってた「買い物中毒」にそっくりだ、というのである。そして、そのテレビに出た精神科医は、「放っておくと悪くなるばかりだから、治療を勧めます」と言ったのだと言う。
内心、またみ○も○たか…とウンザリしたが、診療拒否する訳にも行かず、30分位かけて息子の診察をし、母に「特に問題はない」、と告げると、母は「嫌がる息子をせっかく連れだしてきたのに、テレビで言ってた特効薬を出さないのはどういう訳だ!」と怒り出した。「そんな病気も知らないし、そんな薬も知らない」、と告げると、「テレビで言ってることも知らないなんて、なんてヤブ医者だ、別の所へ行きます!」と診察費も払わずに帰って行きました。
 「買い物中毒」、「パチンコ中毒」、「セックス中毒」等、症例報告的な実験的治療がされていることを知らない訳ではないが、そんな人体実験を、自分の息子にしてくれという母がいるとは…。しかし、この手のガセねたが、とうしてテレビでもてはやされるのか?ボケが治る、ガンが消える、ペニスが立つ、、と週刊誌でも載せれないような根拠のない話を、テレビでやるのは裏があると僕は思う。それは、薬屋さんのインボーなのだ(と思う)。薬屋さんの息の掛かったお医者が、息の掛ったテレビ局で怪しい話を垂れ流すのだ…。正式に保険適応がなくても、患者が欲しいと言えば断りにくいのは確かであるし、自分に損はない。精神科では、どんな病気でも、プラゼボ(偽薬)でも3割位の効果が見込めるのだから、お客(患者)に過剰な期待を持たせることはそう難しくはないのだが、これはしかし僕は詐欺だと思う。この手のお客(患者)は思うように薬を貰えないと怒りだすが、この、怒りだす、というのが、まさにテレビの暗示に騙されている証拠であると僕は思う。<薬屋がテレビを使って催眠術を掛けている
 向こうは初めから非理性的な手段で仕掛けているのだから、理性的に反論してもしょうがないんだけど、テレビ用の精神医学が蔓延っているのにはガマン出来ない。黒幕は薬屋だけではない。例えば、学校でのいじめ問題が話題になると必ず出てくるのが、「スクールカウンセラー」であるが、イジメがカウンセリングで対処できる訳がない。これは、何か対応シタフリしないと、という政府の陰謀であろう(と思う)。御用政治評論家がいるように、御用精神科医がいるのだ。彼らにとっては、何でも精神病だ。人々の欲求不満を個々人のこころの病気に置き換えてしまい、種々の不満で社会不安が起こるような事態を予防することが、彼らの仕事だ。だから、お客(患者)様にはお願いしたい、<テレビのことはテレビに出てた先生に聞いて下さい>  欲求不満は病気じゃない!