2014-01-01から1年間の記事一覧

またやっちゃった

35歳♀外来患者さんに泣かれた。ウチの病院には散発的な通院歴。最近はM先生に通院中で、前の日はS先生に診察してもらったという。まあ典型的なドクターショッパー。この手の人は、医者は患者さんが何を言おうと患者の機嫌を損ねてはいけない事は外来のイロハ…

新患フォビア

僕は新患がキライだ。特に初発後他院に入院し、退院後すぐ外来にやってくる患者さんには殆ど恐怖に近い嫌悪を催してしまい、「2度と来るか!」と患者に嫌われることを願いながら診察を始めることになる。僕には、主治医は患者さんが具合の悪い時に行動を共に…

高齢知的障害者の入院

ここしばらく長期通院中の高齢知的障害者の入院が続いていて、かなり気分が落ち込んでいる。ケアしていた家族が抱えきれなくなり、また、単身で生活が出来なくなり、続々(3人ですが)入院してきた。関係者は「とりあえず施設が見つかるまで」とか言うが、こ…

人間の尊厳

臨床では、患者さんを「人間として尊重することが第一」と言われているが、僕は実は未だにこの「人間の尊厳」とは本当の所はいったい何なのか、よく分からないでいる。確かに命は尊いが、人間が生きていることとゴキブリが生きていることに何か違いがあるの…

バカ野郎、死んじまえ!

僕の病棟を30年前に退院した統合失調症70歳男が再入院してきた。今度は、認知症で施設でのケア困難、と言う事。大腿骨骨折後手術も拒否し、ケアする人に唾を吐きかけ、会話困難なのに、大声ではっきりと、誰にでも「バカ野郎、死んじまえ」とだけは言う。1日…

大学教授はエライ?!

軽うつで引きこもりで10年のK君35歳。父親が定年になり、「障害年金」の相談があった。軽うつなので微妙と思ったが、「申請するだけしてみてくれ」というのでしてみた。結果非該当とされたが、その理由がなんと「彼はうつ病ではない」とT先生が判断した、と…

医者と薬屋さんの癒着

「日本製薬工業協会」加盟72社が、12年度に医師に提供した資金の総額が4827億円、という報道があった。貰った医者は口を揃えて「薬屋さんに便宜を図ったことは全くない」と言うが、お金を貰った先を公表するシステムには一致して反対しているという。薬害エ…

保護者のいない医療保護入院

この4月に法律が変わって、初めて保護者のいない医療保護入院を経験した。79歳男、認知症。妻は2年前に死亡。2人の子供の内、長男は去年自殺、次男は行方不明。脳梗塞で内科に入院後、「もう1人では生活出来ない」と、家を売った後、リハビリも兼ねてS町の老…

大学2年生の立て篭もり

同じ県の(年に1人は学生が自殺するので最近トミに有名)T大学の2年生が音信不通で下宿に立て篭もっている、と母から相談を受けた。精神病ではなさそうであったので、「先ず、T大学の先生に相談してみたら」と対応したら、1か月後に再来。大学に相談したら、…

また、東京の患者

30歳位から東京のあちこちの病院で入退院を繰り返してた統合失調症の人。65歳になって、介護保険を使って、当院の近くの悪名高き某サ高住に退院してきた。担当医もこの辺で売りだし中の、自称・心療内科の往診専門医?の某先生。となれば面倒見れる訳はない…

ついに措置入院

去年の6月のブログ登場のY君(家族が是非、と言うから運転能力低下の診断書を書いた)が、やはりドロップアウト。その後も気ままな生活をしながらどっかの内科医に通っていたらしいが、兄とケンカして、兄を殴り倒して警察に逮捕されたよう。まあ、予想通り…

百歩譲って

統合失調症(50歳男)Iさんの口癖は、「百歩譲って」。彼は“某歌手が自分の詩を盗作して歌を作っている”という信念があり、毎日“謝罪の手紙がくるのでは”、と郵便受けを覗いている。彼は“どうしてこんな不正が通るのか、皆その事を知っているのに、自分はそ…

退院促進の悲劇

知りあいの民生委員のGさんの話。T精神科病院に入退院を繰り返してたA子さん50歳が、また退院したは良いが、近所でトラブルが頻回で、同居のダンナの母を虐待するなど苦情が多いので、ダンナと一緒に主治医のN先生に入院の相談に行ったら、逆に「このくらい…

うつ病は脳障害か?

「うつ病は脳の病気なのですか?」と良く聞かれる。これは答え方が難しい。先ず、うつ病、脳の病気、の定義が難しいし、その定義の仕方によって、答えも変わってくるからだ。答え方を間違えると医者・患者関係がこじれることにもなる。大抵の精神科医は、う…

正常妄想

妄想にも正常な妄想がある、と言うと怪訝な顔をする人が多いが、科学的には妄想と言わざるを得ない思想パターンは山ほどある。香山リカ先生はじめ、威勢の良い精神科医の先生達は、「日本の現状での原発安全は妄想である」と断言しているが、僕も、「原発は…

本年一例目

毎年僕の患者で1,2例は自殺する。今年の1例目は、入院中の40歳のアル中だった。入院中にやられたのは初めてだから、ショックは大きかった。それも、こんなんで死ねるのか、と警察が疑う程巧妙で微細な仕掛けのベット上での首縊り。「本人がその気になれば…

外来通院への家族の過剰な期待

外来通院中の慢性精神病患者について、家族は取り敢えず通院していれば安心している。で、何かあると、突然外来に来て無理難題を要求する。「家族の言う事を聞かない」「勉強しない」「金遣いが荒い」「手伝いをしない」と不平を並べ、最後は「それを治す薬…

多剤併用禁止の不思議

4月からの診療報酬改定で、向精神薬の多剤併用が制限される事になった。効果の証明されてない安易な併用療法が過量服薬による事故を招いていることが社会問題化しているからであろうが、現場の混乱は目に見えている。向精神薬の減量は実に難しい。安易に増や…

東日本大震災の難民

東日本大震災の記事が気になっている。新聞では記者や識者が口を揃えて3.11を「忘れるな」「風化させるな」それが復興支援の第一歩、というような事を主張しているが、それは何処まで根拠が有るのであろうか? 未だに26万人もが仮設住宅に住み続け、大半は転…

時代が変わった

40歳男。うつ病になり休職し、復職3年で再発して、3ヶ月前に再休職し、入院2ヶ月退院後復職準備中に、転院希望で当院初診。今まで、2つの病院、3つの診療所に通院していたが、「患者さんが転院を希望するので」と担当医の5行位の紹介状。「家に居づらくなっ…

人を殺しちゃいそう!

「イライラする、人を殺しちゃいそうだ、人を殺してたくてウズウズしてる。何とかしてくれ」という外見30代の男が受付も通さず外来に乱入してきた。名前を言わず立ったままで、足をばたつかせながら、診察中の人を押しのけて僕の前に来た。こちらからの問い…

認知症老人の精神病院入院基準

「精神科病院に入院が必要な認知症の人の状態像に関する調査研究事業」がようやくまとまった。それによると、「認知症に随伴する興奮や幻覚や妄想が重度になったとき、治療の必要な間だけの入院が適当である」という。そして、「適切に退院させれば、現在以…

大雪に見舞われて

今度の雪はすごかった。お陰で僕は痔になった(因果関係不明)。土曜朝7時、気合入れて病院に2時間歩いて行ったけど、医者だけ居ても病院は動かない、ということが良く分かった。大体、当直医は動けないのだから、医者は必要なかったのだ。外来は休診。僕は…

紙パンツ殺人事件?

去年の話。徘徊転倒予防で保護室にいた認知症患者さんが自分の履いてた紙パンツ食べて、誤嚥して窒息死した。まだ心臓は動いている時に外科医が駆け付けたけど、唾液吸って硬くなった紙パンツは結局全部は取り出せなかった。警察は病院の過失を認めず、遺族…

患者さまの力

イギリスの患者さんの意見の重視は半端じゃない。話は去年のCQC(日本で言えば医療評価機構)の内紛。向かって右上の写真が患者さん代表のKay Sheldonさん。どっかの病院が患者に優しくないと言いだして、CQCのリーダーで福祉代表のJo William(左下写真)さん…

川村先生、御開業

僕の患者さんに教えてもらったんだけど、べてるの家で有名な川村先生が今年開業するらしい。前後して浦河日赤病院の精神科が(病棟も外来も)閉鎖という。べてるの家のホームページでは、時代の流れ、と前向きに受け止めているようですが、入院する病院なし…

や・ら・れ・た!?

近所の開業医S先生から紹介された75歳男性。高血圧と糖尿とうつ病の既往があり、うつ病の再発で数年前に当院に入院した事もあるらしいが、その後はS先生がフォローしていた。家族は「両下肢に痛みを訴えはじめたら、精神科受診を指示された」と言ったていた…

NICEガイドライン改定

英国の統合失調症患者の治療指針が改定された。ざっと読んだが、薬を拒否する患者さんに対する配慮にビックリ。指針では、薬物投与は、副作用の説明も行って患者さんが服薬を承知した場合のみとされ、患者さんが薬物を拒否した場合は、非薬物療法を行いなが…

弁護士君やりたい放題

同僚に聞いた話。<てんかん精神病の女性で両親死後の単身生活で服薬が不規則になり、自宅で発作を頻回に起こすようになり、発作後のもうろう状態が長引き、脱水や低栄養状態で救急搬送されることが繰りかえされるようになり、前回入院時は遠くに住む兄が保…

地域<病院<刑務所

79歳で統合失調症で生活保護の患者。窃盗の常習犯で前科5犯。2年前に単身生活がいやになり、刑務所に入れば楽になると思って窃盗事件を起こしたが、不起訴になって自棄になり、酒のんで暴れて当院に入院してきた。皆でおだてて何とかサ高住(サービス付き高…