多剤併用禁止の不思議

 4月からの診療報酬改定で、向精神薬の多剤併用が制限される事になった。効果の証明されてない安易な併用療法が過量服薬による事故を招いていることが社会問題化しているからであろうが、現場の混乱は目に見えている。向精神薬の減量は実に難しい。安易に増やす先生方はまた実に安易に減らすので、禁断症状で不安定になる患者さんも出るでしょう。依存が問題、というけど、それなら先に酒・煙草ではないのか? 依存の問題に対する行政の無力は、100年前のアメリカの禁酒法の経験や、現代の薬物乱用問題で明らかのはずなのに。
 さらに、多剤の「副作用」の問題を本気で考えるなら、先ず抗ガン剤、次には抗生剤、そして心臓の薬や糖尿病の薬をターゲットにしなくちゃねえ。「効果の証拠」と言うなら漢方薬の方が先でしょうに。エイズだって、ピロリだって、単剤ではダメだったけど、多剤で成功したではないか!
 眠剤4種類飲むことでここ10年平安な毎日を過ごしていたMさん(60歳男)に何て説明しよう…