向精神薬受難

 薬は匙加減。でもこの頃は向精神薬抗不安薬抗うつ薬抗精神病薬など)への風当たりが強い。確かに副作用は多彩で、効果は主観的な判断になるので、客観的な有用性となると、差し引きで微妙な所だ。でも、例えば癌末期などのモルヒネなどはむしろ推奨されているし、重症感染症ステロイドなども碌なエビデンスなど無いのに投与されていても文句を言う人はいない。エビデンスを言うなら、漢方薬だってあやしいものだ。抗精神病薬だけが、ケミカル・レストレイン(化学的拘束)なんて悪口を甘受している。精神科の医療が医療と評価されずに、患者虐待と非難されるのだ。この頃のガイドラインは皆口を揃えて、認知症の問題行動に対して、先ず非薬物療法で、次に漢方薬。で、ダメな時に限ってごく少量を短期間使うことが許されるのだそうだ。でも、非薬物療法なんて、要するに良い看護・介護以上のものではない。良い介護・看護は家族に勝るものはないと思う。だったら病院なんかに来る必要はないのではないか? そんなにアブナイ薬なら、精神科がなんでこんなに盛況なのか? 「薬の為に救われた」と思ってる人は何でこんなに多いのか? 保険でも多剤併用がどうのと言いだして、でも、薬を減らすと、せっかく収まってた症状がまた騒ぎ出す人も少なくない。「臨床は匙加減なのだ! 統計学者や官僚が口をはさむ問題ではないのだ!」・・と声を大にしては言ってはイケない様なご時世なんですね。ちくしょう。