認知症病床が足りない

 日本慢性期医療協会の武久洋三会長は6月30日の記者会見で、増加が予想される認知症高齢者への対応策として、精神病床を一般病床に転換させた上で、精神科医と総合診療医が共診出来る態勢にすべきだ、と言った。彼は7万床は必要だろう、と言った。何で一般病床を精神病床に転換じゃないのか、良く分からないけど、ベットが足りないのは間違いない。日本全国で精神科入院の認知症患者は、H11年で2万人がH20年で5万人、H23年で5.3万人となっている。当院でも着実に増えている。救急で引き受けて、でも退院させられないのだから溜まる一方だ。認知症高齢者はこれからも増え続けるのは間違いないし、その増え方は予想以上だ。厚労省は以前より、団塊の世代後期高齢者となる2025年認知症高齢者が何人になっているか予測しているが、H14年では320万人の予測だったのに、H24年の予測では470万人になっていて、H26年の新・オレンジプランでは、730万人と上方修正した。でも、「安心しろ、精神科病院入院の認知症高齢者用ベットは現状以上には増やさなくて大丈夫」とお役人は言う。でも、その対策はと言えば「早期発見・早期治療」らしいから、これはお先真っ暗だ。それに追い打ちを掛ける様に、この頃の介護認定では「要介護」とならない人が増えている(「要支援」では施設に退院させられない)のだ。認定者は、精神症状が軽くなった患者を前にして、「自宅で良いでしょ」とつれない。でも、家族は具合の悪い時のことを根に持って、「家では面倒見れない」という。市や県は、「認知症も最後まで地域で」と言ってるけど、誰も本気にはしていない。結局は精神科病院が最後まで面倒見るしかないようだけど、もうそこもいっぱいナノダ。精神科救急の現場では「退院の見込みのない老人は受けるな」になりつつある。2025年を待つまでもなく、今、もう病床が足りない