外来通院への家族の過剰な期待

 外来通院中の慢性精神病患者について、家族は取り敢えず通院していれば安心している。で、何かあると、突然外来に来て無理難題を要求する。「家族の言う事を聞かない」「勉強しない」「金遣いが荒い」「手伝いをしない」と不平を並べ、最後は「それを治す薬くれ」となることが多い。でも、僕らが実際に外来でやってることは、再発の有無と薬の副作用チェックくらい。月に一回数分間患者の言う事を聞いているだけの外来精神科医過大な期待は禁物である。「医者が薬に頼りすぎ」とマスコミはいうけど、家族の期待は医者以上だ。先日はある家族に「嫁さんが貰える様になる薬くれ」と言われた。冗談かと思ったら本気のようで、あぜんとしてしまった。希望は持つべきだけど、医者は魔法使いじゃない。通院・服薬だけでは現状維持が精いっぱいだ。働けず、デイサービスにも通えない人は、家でそれ相応の訓練をしなきゃまず回復は見込めない。でもそれを家族に言っても通じないし、それアンマリ言うと、「じゃ、入院させてやってくれ」となってしまうから難しい。