東日本大震災の難民

 東日本大震災の記事が気になっている。新聞では記者や識者が口を揃えて3.11を「忘れるな」「風化させるな」それが復興支援の第一歩、というような事を主張しているが、それは何処まで根拠が有るのであろうか? 未だに26万人もが仮設住宅に住み続け、大半は転移する見込みはないと言うが、これはもう彼らは難民化しているのは確実だ。マスコミは世界中の難民に対しては、「過去を忘れて気持ちを未来に向けよう」「いま、ここで生きる決意を」と言っているではないか。1万5千人の死の喪に服するにしても3年で十分ではなかろうか。マスコミには未だに苦悩や怒りを力いっぱい発散させ続けている人達が出てきて、また、その発散を促進するのが無条件に望ましいとする自称PTSD専門家が出てくるけど、そこはまだ結論の出てない所である。確かに一昔前には、盛んに体験を思い出させて、感情を発散させることが良い、と言われたものだったけど、最近は寧ろトラウマ体験はそっとしておいて忘れるに任せ、感情も抑制する方向が良い、と言われるようになっている。また、暴力予防で、「怒り」の感情は発散させるよりガマンさせたほうが予後が良い(暴力に発展しない)ことも分かっている。
 トラウマは忘れるに限る。忘れられなくても、忘れた事にして、自分に出来る事(仕事)を始めないと、未来は開かれないのではないか、と思う。未だ仮設住宅に住み続けている人は、難民であると正しく認定する事が肝心ではなかろうか。覆水盆に帰らず。リハビリ患者には鞭を!