幼稚園からでは遅い?

アメリカで抗精神病薬を飲む(飲まされる)子供が増え続け、社会問題となっていて、先日米国小児思春期精神医学会が、子供の治療は、薬物療法が優先させるべきで、抗精神病薬投与を安易にしないように警告を出した。親や教師や医師が薬屋さんの宣伝に洗脳されているのだろう、というのが日本での大方の説明であるが、薬物療法で悪い子がよい子になるのか、調べてみた。
最新の研究(Duke大学 Dodge K A(←)ら,Am J Psychiatry 172)では、幼稚園児1万人から、問題行動を起こす児童1千人を選び、その中から無作為に半数を選んで6歳時より特別教育(非薬物療法)を10年間行い(介入群)、25歳時に各人の生活レベルや性格や問題行動、犯罪歴などを調べ、残った半数(対照群)と比較している。その特別教育は1人当たり6万ドルを必要とし、8割が継続出来た。結果は反社会的傾向の強い人間と判断された人は介入群59%、対照群69%で、特別教育は有効であったと結論されている。が、特別教育がこんな低いレベルなら、薬を使いたくなる気持ちも良く分かろうというものだ。矯正施設への入所は介入群で6.3%、対照群で5%で、差は出なかった。でも、このたった10%の違いをお金に計算し、「反社会的な成人1人に対する社会的損失は500万ドルなんだから、6万ドルは安いもの」と強弁していたのにはびっくりした。これ読んだら、「アメリカの幼稚園で問題行動を起こすようになったら碌な大人にならない」と確信してしまった。さて、日本ではどうなのか?そして、アメリカで、抗精神病薬は悪い子を良い子に出来るのか、答えは10年後?