保護者のいない医療保護入院

 この4月に法律が変わって、初めて保護者のいない医療保護入院を経験した。79歳男、認知症。妻は2年前に死亡。2人の子供の内、長男は去年自殺、次男は行方不明。脳梗塞で内科に入院後、「もう1人では生活出来ない」と、家を売った後、リハビリも兼ねてS町の老人ホームに移って来たのが半年前。そのホーム暮らしが思う様に行かず、生活のいちいちでホームスタッフと口論するようになり、ついに警察を呼んでも興奮が治まらなくなって、当院の精神科の夜間救急に連れて来られた。ホームスタッフは、「もうこれ以上置いておけない」と言い、本人は入院を拒否して「山に入って死ぬから出て行く」と言う。で、以前なら保護者の登場となり、僕が保護者に「ここは入院して貰いますが、今後の事は本人の意見を最大限尊重すると約束出来ますか?」と聞いて、保護者が「ハイ」となる所なのであるが、そこが必要なくなって、事後的に、形式的な入院承諾をS町の市役所にしてもらう事で、つまりは僕の独断で入院となった。保護者のいない医療保護入院初体験。ー何かすごく悪い事したような後ろめたい気持ちになっています。次の日に本人が「強制的に入院させといて、入院費は誰が払うんだ」と不安がっていましたが、入院費は本人が払うんですョ。この人も、先ず後見人をつける所から始めるんですが、5年前に認知症の診断がついてから、10指に余る程の専門家(Dr,Ns,ケアマネ,ケースワーカー)が担当していながら、行き場所が精神科病院とは、介護保険はいったい何してるんでしょうかネ!!こんな役立たずの保険なんか、イ・ラ・ナ・イ ね。ちなみにこの人もまた東京の人。舛添 さんは知っているのかいないのか?