新患フォビア

 僕は新患がキライだ。特に初発後他院に入院し、退院後すぐ外来にやってくる患者さんには殆ど恐怖に近い嫌悪を催してしまい、「2度と来るか!」と患者に嫌われることを願いながら診察を始めることになる。僕には、主治医は患者さんが具合の悪い時に行動を共にした医者がなるもの、という信念があり、だから理想は初発時の担当医が主治医であるべきなのだ。僕は、医者の都合でその理想の治療が出来ないのはおかしいと思って大学を離れ、今の病院にやってきたのだ。でも、現実はそうも言ってられないから、仕方なしに他の患者も診てはいるが、患者さんの具合の悪い時の事を知らないと、実際に具合の悪くなった時に<強制入院させるべきか>のポイントが分からないのだ。さらに、具合の悪い時のことを知らない患者さんは、こっちの言う事を聞いてくれないことが多く、勝手に断薬しドロップアウトする傾向が高い。大体、世話になった病院や医師を退院早々見限る患者は、再発は目に見えているのだ。でも、そんな拘りはどうも僕だけのようで、こんな話をすると、「おかしなお医者さん」と思われかねないと言うことは今は知っている。院長には「サボル言い訳」としか理解されていないようなのだ。でもそれが僕の仕事もモチベーションでもあることは分かってもらいたんだけど、誰も分かってくれないけど、でも、イヤなものはイヤなのだ!!