精神医療ダークサイド

 某読売新聞記者の書いた「精神医療ダークサイド」を読んだ。感想は「マスコミの記事は某朝日の記者の「ルポ精神病院」からちっとも進歩していない」だ。精神医療の現場の諸問題を取り上げるのに医者を悪玉にしたてるのは一番安易なやり方だと思う。でも、実際は、例えばこの本で出てくる良医がネットでは悪人とされている様に、ある人にとって悪い医者でも別の人にとっては名医であることも多いのだ。薬も匙加減で毒になったり薬になったりするのは常識の範囲内ではなかろうか。「何か都合の悪い事があると誰かを責任者として犠牲の山羊に仕立て上げて正義の名の下に血祭りに上げる」やり方はマスコミのダークサイドであると思う。医者と患者は運命共同体であるべきで、敵は「精神病」なのである。確かに敵は手ごわいが、だからと言ってその共同体の内で、医者と患者が喧嘩している余裕はない。マスコミには、医療や介護の現場を取材する時に、自分はそのくだらない喧嘩を焚きつけているのだ、という自覚が足りないと思う。だから医者はマスコミの事を「マスゴミ」と言って憚らない。現場の医者は皆、自分の良心が疼いていること位は気付いている。「正義の味方ぶる医者」程怪しい物はない。