尿が10リットル

 長期入院中の統合失調症のOさん55歳♂が、この頃太ったと思っていたら、昼食完食後、歩行困難になった。意識ももうろうとしており、ベットに寝かせようと近寄ってみたら、皮膚がパンパンに張っていて、膀胱もパンパン。あわてて尿道カテーテル挿入したら、出るは出るはで、初めの1時間で2リットルで、12時間で計10リットル出た(その間禁飲食で)。その頃には意識も元通りで、皮膚の皺も出てきた。まるでふくらんだ風船がしぼむ様な様子に皆唖然としてしまった。本人の自覚症状は全くなく、「水をいっぱいのんだ事はないし、オシッコが出なかったことはないし、お腹が痛くもなかった」と平然と言っている。結果としては、痛みのない尿閉であったようだが、腹痛を訴えないのは、精神病のせいなのか、抗精神病薬のせいなのか。相談した泌尿器の先生は「こんなこと、僕は信じない」と一言。臨床の現場ではいろいろおかしな現象が起こるものである。どんな水中毒の人でも、禁飲食なら点滴していても1日5リットルの尿が精々と思う。まあ、生きてて良かったネ。