やっぱ胃廔反対!

 末期患者に最後まで口から食べさせたい。そう思う人は多いが、実はそれは殺人行為なのである。僕が研修医の頃は「窒息も誤嚥も寿命のうち」と考えていて、多少具合が悪くても患者さんの好きなように好きな物を食べさせていた。その結果60才過ぎると肺炎で死ぬ人も結構いたけど、それも「精神病患者は寿命が短い」せいと考えていたものだ。でも、有る時内科の先生に「老人の肺炎には禁食は常識」と諭され、やってみたらホントに患者が死ななくなってビックリした。しかし、絶食療法で患者が長生きするようになったのは良いとしても、誤嚥するような患者だから、その後は認知が進み、寝たきりになり、胃廔を作り・・・となることが多くなり「あの時が死に時だったか」と後悔することも多くなってきている。3年前にも書いた(2011.12.28)けど、胃廔は悲惨である。内科Drに誘われて、認知症10例に胃廔を施行してみたけど、結果は悲惨。はずせた人はゼロで、死亡4例は皆誤嚥性肺炎。また、半数は胃廔を自己抜去しようとするので持続的に拘束せざるを得なかった。誘った内科Drは「精神科の患者は外せないのかね」と冷たいご意見。だから今は、「食えなきゃ寿命」で良いのではないか、と思い直している。調べて見たらびっくりで、例えばアメリカでは認知症患者には胃廔は原則しないのだという。家族でどうしても、と言う人には在宅でしてもらうらしい。それが良いと思いますね。