老衰のハズが・・

 躁鬱病81歳女性。心筋梗塞と大腸癌で手術後。「最近食事量が落ちてきた、うつが再発したのではないか」と家族。確かに表情も優れず、動きも鈍い。維持で飲んでた坑うつ剤を増量したら返って動きが悪くなり、終日臥床となってしまったので、とりあえず入院してもらったのが去年の春。点滴しながら坑うつ剤をスイッチしてたら、急性肝炎になってしまって、坑うつ薬を中止せざるを得なくなった。すると、Hさんは食事も取らずに只管寝てるだけ。3か月で認知症状が顕在化し、夜間せん妄も出現するようになってしまった。老人科Drに相談したら、「これは老衰だろう」という話になった。家族の同意を得て、そのまま500ccの点滴1本の見送り体制になって、2週間後、「お腹が空いた」と言い出した。その後食欲も出て、身体は急速に回復したが、急速に認知が進み、1か月のうちにみるみる重度の認知症者になってしまった(CTでも梗塞像はなく、年齢相応の委縮のみ)。躁鬱病者はボケるのが早いと言われてはいるけど、こんな患者初めて。認知症は奥が深い。