親の死後のサバイバル

 67歳♂のTさん統合失調症が「精神症状悪化」ということで救急車で搬送されてきた。慢性の幻覚妄想状態ではあるが、発症後40年一度も入院したことはない。近所でのトラブルは結構あったが、その都度、両親が「家族でガンバル」と外来で通した。仕事は断続的に60歳までは出来ていたが、父の面倒を見るのに退職し、その後の持病の糖尿病や心筋梗塞の治療の為の入院や、父の死(癌)、母の死認知症)にも耐えて来た。
しかし、最近は中国人妻と離婚し、1人暮らし。家はゴミ屋敷で、食事も碌に取らずに只管寝ている生活であったらしい。で、「ここ数日で歩けなくなったので、ヘルパーに頼んで救急車呼んでもらった」と云う事。で、搬送先の病院では異常が見つけられず、そうかといって家には帰せず、当院に転院となった。「介護保険で在宅で」と言っていたかかりつけ医は雲隠れケアマネは長期休暇中。「だいたい私は彼を家で見るのは初めから反対だった」とは遠くに住む妹のご意見。こうなる前にどうして相談してくれなかったのかしら、と悔しがる僕。でも後の祭り保護者制度が無くなって、地域で患者が放置されている。高齢精神病患者さんには早目に後見人をつけましょう。