すごい坊さん再登場

 近くの市民病院から住所不定の重度の認知症患者が送られてきた。数日前にその病院に救急搬送された行き倒れで、不穏でケア困難になったので当院に移ることになった患者さんの保証人が、45歳の某寺の住職のA氏で、去年の5月の「老人が町中ですてられてたらい回し」に登場している。彼は患者さんとは何の係わりもないが、無縁仏の相談にのるNPOの代表で、その市民病院でボランティアの相談員をしている関係で、そのNPOが家族等のいない患者の入院中の世話をする事があるのだと平然としている。一般に、入院の保証人は入院時一時金(当院では5万円)と、患者の支払い能力のない場合に患者に掛る諸費用の立て替えを求められるだけでなく、入院中の下着の洗濯や外出の付き添い、さらには退院時の患者の居住の確保、入院中に死んだ場合の遺体の引き取りまで求められる。市長はもちろん、福祉課の職員もしないし、後見人の弁護士や司法書士も決してしようとしない。一般に坊さんは医者や患者を見ると先ず説教をするものであるが、A氏は病院では何も主張しない。何か言わせてみようとしても、「前回の患者の出費は10万程度ですみました」と「患者の家族と思って何でもするつもりだ」とだけ言って帰って行った。「こういう人がいる限り日本は大丈夫」と思う反面、「坊主がここまで出来るのに、病院は冷たくないか」と反省もするので有りました。僕は普段は自分の患者に身銭を1銭も出さない主義だけど、でもこんな人が目の前にいると自分が情けなくなりますネ。