ゴミ屋敷の住人

最近、ゴミ屋敷の住人(55歳男)が入院し、退院して行った。近所では有名人で、その前に住んでた借家もゴミ屋敷で、大家が裁判をし、本人欠席のまま退去命令を出され、それでも居座っていたので、警察官が逮捕した。その後母が借りていた今の家に転がり込んだのが5年前。3年前にその母が救急車で病院に運ばれ、その後彼が単身で生活するようになったのだと言う。母はその後特養に入所している。本人の姉が隣の県に居て、月1回位本人に会いに来ていたという。ゴミは庭から玄関、台所からトイレまで、所かまわず置かれていて、どうも近所から拾ってくるゴミもあって、生ごみが異臭を放ち、時にボヤ騒ぎもあったらしい。で、今年の夏に近くの路地で倒れているのを救急車でT病院に運ばれ、心筋梗塞でステント挿入手術を1回終えた所で逃げ出して、その後在宅指導の為に当院の訪問看護を利用していた。で、訪問が始まって、数か月後、訪問看護師が意識がもうろうとしているのを発見。T病院に連れて行ったが、「心臓には異常がないから」と入院させて貰えず、でも「家には帰せない」と当院内科に連れて来た。診断は「栄養失調と脱水」で、でも、点滴してもヨタヨタして歩けない。「こんな臭いの内科には入れられない」と内科Drに泣きつかれ、断り切れず精神科で入院となった(任意)。情報収集では、近所も姉も市役所もT病院担当医師も、「彼は精神病に違いない」であった。1カ月観察して出した結論は、僕も、他の精神科医も院長も、「彼は正常」であった。歩けるようになると本人は「すぐにでも帰りたい」と言いだしたが、皆で拝み倒して、清掃業者のゴミ収集が終わるまで待って貰った。ゴミの中には母の遺骨や現金(80万)もあったと言うから驚きだ