データを見せてくれ

半分は嫉妬で言うんだけど、斉藤環先生はイマイチだ。彼は余りに建前論だ。彼は先日朝日新聞で、曽野綾子さんの人種差別/区別発言を許してはいけない、と言っていたけど、確かに彼の意見は評論家としては正論であろうが、人種差別/区別問題がどうして起こるのか、という現実的な問題は無視されていて、精神科医として物を言うのなら、その現実と建前とのギャップをこそ追及してもらいたい。差別者はいわば患者であり、いちいちの患者の言動を非難しても仕方ないではないか。彼は、いわゆる「ひきこもり」の問題でも評論家的で正論・建前を述べるのであるが、現実的に彼の「ひきこもり治療」の成績がどうなっているのかは曖昧なままなのである。「ひきこもりを治す」と宣言してもう20年が経つのだから、現実的なデータを出して議論してもらいたいと思うのだ。そう言えば彼の親分の稲村博先生も、「登校拒否は治る」と言いっぱなしで、データは出さず仕舞いであったと記憶する。
 でも、データないのは、実は、彼らだけではない。だいたい、「神経症を治す」で登場した精神分析は結局データが出ずに終わっているし、拒食・過食、家庭内暴力、万引き、ギャンブル、ネット中毒、などはもちろん、標準的とされる、アルコール中毒統合失調症の治療の結果すら誰も結果を公表しないのが現実なのだ。結果も公表せずに「治る、治る」は詐欺ではないかしらん? ある先生は、「精神科のガイドラインには、精神科医オプティミスティックであれ、とあるのはつまり、データなくても信じれば信念で治療して良い、と言う事なのだ」と解説してみせてくれた。なるほどね。