統合失調症の予後

後進国>先進国のウソ。WHOでは大分前から、統合失調症の予後は後進国の方が良いと主張している。地域コミュニティー雰囲気が回復的に作用するのだそうだ。で、治る病気なんだからと早期発見・早期治療を薦める。でも、治療薬もハロペリドールフルフェナジンクロルプロマジンだけで、月1回のNsの訪問と、年に数回のGPの診察じゃ、服薬指導だって出来はしない気もする。「そんなもので治療になるものか、初発の理想は入院だ」とも思うけど、そんなこと言うとWHOの建前が崩れるから言えないんだろう。
後進国一見予後良好に見えるのは、重症患者は地域からはじき出されて、居なくなる(死んじゃう)からだと僕は思う。重症の患者が地域でどうなって行くか、アメリカでの最近の50年を見れば良く分かる。患者は地域から排除され、ホームレスになるか、施設か刑務所に行くかの3択を余儀なくされたのだ。人権尊重の国ですら受け入れられないものを、どうして後進国が受け入れようものかね。ちなみにアメリカでの統合失調者の平均寿命は56歳。そして、初発の精神病状態の患者さんの1年後の死亡率は2%で、一般人口の24倍(Michael Schoenbaum)らしい。統合失調症患者さんは、後進国で生まれても、先進国で生まれても、どっちでもお先は真っ暗、という悲しい現実。でも、日本で入院中の統合失調症患者さんは長生きしてますね。