統合失調症患者のリワーク?

統合失調症患者の長期予後はホントの所どうなっているのか?日本の教科書は大抵「最近の治療の進歩で症状は寛解し、生活能力は回復するようになった」とあるけど、僕の成績は以前に記した(2010.12.28)ように惨憺たる結果で、経過良好は1割くらいで、その後も殆どの患者さんが進行的に増悪する傾向だ。ネットで見てたら、ひだクリニックでは、統合失調症患者は復職が当たり前で、「チーム医療でリワークすると、職場定着率が7割だ」と胸を張っていた。でも元NIMH所長のトーマスインセル先生など、生物学的研究者はたいてい「統合失調症脳病で、認知症と同様治癒はなし、治療の効果は限定的」と言ってるし、アメリカの統計では、患者の完全就労(非障害者と同じ条件での就労)率は2割に満たないままだ。予後は良い、という論文の評価尺度は大抵主観的だ。この頃、「回復」という言葉が流行っているが、「回復」の評価基準は、患者さんの主観的なwell-beingであり、つまり、どんなに周りが迷惑していても、本人が「調子が良い」と言えばそれが回復と定義されることになっている。昔は寛解、といったら症状は有ってはならなかったが、今の回復は症状は残っていても良いことになっている。M大教授にその話をしたら、「回復という言葉は使える。患者に"もうこれ以上良くならないから諦めなさい"とは言えないけど、”今後も回復に向かって努力しましょう、協力は惜しみません”とは言えるでしょう」と、言われた。。。何か、患者をだまクラかしている気もするんですけどね。