うつ病の予後

うつ病は治りにくい」といわれる様になった。昔は「うつ病は3ヶ月位で治って、その後再発はするにしてもその都度治るもの」だった。それが、何時の間にか3が6に、6が12に、12が24になって、この頃は「うつ病は治りにくい。慢性化しやすい病気だから、治っても予防的に治療を続けた方が良い」という話になっている。治癒の基準が高くなっているのだ。期待される能力が、「最低のノルマの達成」でなくて、「自己実現」になってしまっている。そんなの、発病前から出来やしなかったと思うけど、患者本人が、「いや、本当の自分はこんなレベルではない」といわれると、否定はできない。「この挫折が患者さんの人生にとってポジティブな意味を持つまでが治療」とか言い出す医者も出てきて、患者は自分の目標レベルがますます上がって行くのだ。薬屋さんのインボーも有るんだろうけど、実際、欧米の精神科医の中には、「抗うつ剤にも依存があるのだ」と断言する人も出てきた。フィンランドのデータで、2008年に2.6万人が抗うつ剤を処方されたが、5年後45%の人が薬を続けていたという。アメリカの議会の委員会では、抗うつ薬の処方を受けた、2013年の540万人の1割程度が依存であると結論した。現代の精神科医が、何でもかんでも病気に仕立て上げて、「治療します」と大風呂敷を広げたまでは良かったけど、その架空の病気が患者の身体を蝕むようになってしまって、現代の精神科医手に余り始めているいるようだ。その精神科医にすれば自業自得だけど、被害の患者は哀れだよね。