2016-01-01から1年間の記事一覧

がん放置療法の波紋

去年は近藤先生のがん放置療法が話題になりましたが、先月、その近藤先生の信者(子宮癌、49歳女)が精神科に入院して来た。3年前に癌が見つかった時は手術を勧められたが、拒否。今年2月にメタメタで近くのホスピスに入院したんだけど、そこで「スタッフの…

夫婦で入院

夫は躁鬱病50歳で妻は統合失調症45歳。20年前に結婚し2人で支え合って生きて来た。今まで再発が夫4回、妻3回。片方が再発した時は片方が保護者になって医療保護入院なんて事もあった。今年1月に夫が躁状態で再発し、任意入院したけど、1週間で夫が「退院する…

休職者多発の原因

統合失調症45歳男、独身。2回再発後、ずっと寛解状態で、20年間服薬しながら働いていたが、ちょっとした人間関係で躓いて、「自分でも少し考えすぎだとは思う」と言ってはいたが、その後落ち込むことが多くなり、「少し会社休みたい」というので、1週間位の…

老衰のハズが・・

躁鬱病81歳女性。心筋梗塞と大腸癌で手術後。「最近食事量が落ちてきた、うつが再発したのではないか」と家族。確かに表情も優れず、動きも鈍い。維持で飲んでた坑うつ剤を増量したら返って動きが悪くなり、終日臥床となってしまったので、とりあえず入院し…

本居宣長の本音/建前

彼は江戸時代の国学者で、「天照大神は太陽であり、彼女が現実世界を作った。その神の子孫が統帥するのが日本であるから、世界の国の中では日本が一番偉い。外国の人の信じる、天帝とか仏とかは天照大神の世界創生の話が間違って伝わっただけだ」と言ってい…

グローバリゼーションの怪しさ

「グローバリゼーションが貧困を救う」と言われだして久しいが、その宣教者達の言う内容は一面的で、整合性がない。まるで躁病患者の誇大妄想のようだ。一寸法師の打出の小槌じゃあるまいし。例えば、ジェフリーサックスの「貧困の終焉」。貧乏人は貧乏人な…

覚醒剤の話

K原さんで話題の覚醒剤のはなし。数年前に入院治療した人は、「外車販売のセールスマンの原因不明の錯乱」という触れ込みで入院してきて、数日間は「爆弾が落ちてくる」とか「拳銃で撃たれる」とか言って汗びっしょりで保護室にいたけど、その後は、スッと大…

トイレで死す

熊本の地震で、避難民の突然死が注目されている。その中で、「トイレで死んでいた」という人がいたけど、僕の経験でも、トイレで見つかる死者は少なくない。若い頃は、「トイレで死ななきゃいけないなんて、さぞ苦しかったのだろう」とか「苦しくで、でも、N…

救急は3日待ち

この頃のアメリカの精神科救急の待ち時間は平均3日だと言う。アメリカの精神科ベッド数は10万人対11。これが1日以内になるには10万対40〜60のベッドが必要だ、とFuller Torrey先生が書いていた。3日待て、と言われても、その間誰が面倒見ているのか、調べた…

空腹精神病?

K君(統合失調症、45歳)が夜中に徘徊するようになった。元から疎通が困難なので、どうしてそうなったか、全く見当がつかず、睡眠薬を増やしもダメ、内科や、泌尿器の先生に診てもらっても、ダメ。昼間の言動には変化はない。そんな徘徊が3週間ほど続いたあ…

えっ?!

結構面倒見の良い家族と思っていた母が、K君(45歳男)のECT(電気けいれん療法)に難色を示した。ECTの評判が世間ではイマイチだから不安なのだろう、と思って会って話して見たら、「KがECTで良く成って、退院なんて事になったら実に困る。もう家にはKの居…

家族VS後見人

最近裁判所は認知症患者の後見人に患者の身内を選ばない傾向にある、と新聞に書いてあったけど、その通りだ。身内だと、患者のお金を患者の為には使わず、身内自身の為に使ってしまったり、遺産として残そうとしたりするから、患者のためにはならない傾向が…

ワガママ老人

80歳独居の女性。不定愁訴で内科に入院した。どこも異常がなく症状は消失したのに退院を拒否し、「ずっと、ここに置いといてくれ」といっているという。自宅では「1人では生活できない」というが、ヘルパー派遣は「他人が家に入るのはイヤ」、と拒否。老人ホ…

患者さんの冬眠

糖尿病と脳梗塞で認知症+夜間せん妄で入院中のMさん58歳男性。寒波襲来の日の朝の事。何時までも起きて来ないので不審に思ったNsが起こしに行って異常に気がついた。起こしても起きないで、低血糖(29mg/dl)低体温(腋下で34℃)。当直Drが呼ばれて、点滴な…

同時多発自殺

僕の患者さんで、今年の1月某日に過量服薬自殺が2例出た。Uさん45歳女とSさん43歳男。患者の自殺は覚悟しているが、同じ日に2例とは、僕の薮医加減も行きつくとこまで行った感じだ。Uさんはうつ病。過量服薬で他院から紹介があったのが5年前。I総合病院の…

ダブルスタンダード

僕は「ヨーロッパの人は日本人に比べて基本的人権の尊重が徹底しているからエライ」と思っていたけど、そうでない事が今回の難民騒ぎで良く分かった。ヨーロッパの人達も、アメリカ人と同じで、要するに「口先のみ」だったのだ。嬉しいような悲しいような。…

春が来た

今年も春がやってきた。毎年そうだけど(去年の3.10のブログにも記した)、インフルエンザの後に、花粉症と供に、今年も春がやってきた。慢性病棟と侮るなかれ、唯のボケ老人と侮るなかれ。数日のうちに、彼らの廊下徘徊のスピードが上がり、独語の音量が上…

薬物性精神病!?

近所のA精神科開業医からの紹介状の診断の所に「薬物性精神病」と書いてあって、本文に、「○○精神科通院中に抗精神病薬の大量処方によって・・」と続いていた。患者はどう見てもごく普通の慢性期の統合失調症なのに、付き添いの家族が言うには「確かに○○病院…

安楽死または自殺幇助

難治性の精神病患者に対する安楽死(自殺幇助)の話がJAMAに載っていた。―訳してくれたブロガー(spitzibara2さん)がすでにいます(http://rdsig.yahoo.co.jp/blog/article/titlelink/RV=1/RU=aHR0cDovL2Jsb2dzLnlhaG9vLmNvLmpwL3NwaXR6aWJhcmEyLzY1MDM5MDQ…

患者はどっち?!

アル中の認知症患者87歳父vs統合失調症の45歳の息子。父のケアマネが2人をウチの外来に連れて来た。診察カルテの名前は父の方だったが、外来診察室でどっちが患者でどっちが保護者なのかをめぐって口論を始めた。「息子を入院させるからというので付いてきた…

DSM-5の評判

もう僕は使わ(え)ないと決めたんだけど、DSM-5はアメリカのAPA公認の診断基準のマニュアルである。いい加減な診断基準を沢山作って色んな人を精神病と決めつけて、いったい何を企んでいるのだろう、と思ってたら、最近、成程!と納得してしまったケースに…

エビリファイ持続性水懸筋注用の市販直後調査

エビリファイ持続性水懸筋注用の市販直後調査の結果を出入りのMRから聞いてビックリした。6か月で12人の死亡、突然死が2人、自殺が5人。自殺の多さにビックリしたが、MRによると、自殺率にすると、6/1000・年となり、統合失調症者の自殺率10/1000より高くは…

幼稚園からでは遅い?

アメリカで抗精神病薬を飲む(飲まされる)子供が増え続け、社会問題となっていて、先日米国小児思春期精神医学会が、子供の治療は、非薬物療法が優先させるべきで、抗精神病薬投与を安易にしないように警告を出した。親や教師や医師が薬屋さんの宣伝に洗脳…

米軍退役軍人の自殺の原因

ここ10年くらいの重大な問題の結論が出た様子。心理学的剖検とやらにお金と時間をつぎ込んで、遺族の不安を掻き立てて、アメリカの臨床心理学の専門家(あくまで自称)達の出した最新・最終の結論は、ーベテランの自殺のハイリスクは「もともとの素因」ーと…

重症心身障害児

同僚の内科医に代わって、特別支援学校(以前の養護学校)の入学健診に行っ(正確には行かされた)て、その心身障害者達の障害が半端じゃなく重症なのに驚かされた。医学は進歩したもんだね。心肺停止で生まれて来た子、出産して手術室に直通だった子、手術1…

ストーカーの治療?

警察庁が、ストーカー事件の加害者が精神科医の診察を受けやすくする取り組みを今年度から始めることを決めたらしい。警察官が医師と連携することで治療の機会を増やし、再発防止につなげるのが狙い、と新聞にはあった。この取り組みでは、警察官は規制法違…

1錠8万円

ハーボニー(C型肝炎の経口治療薬)が1錠8万円!。中医協で医師会代表は難色を示したが、官僚が押し切る形で薬価が決定したのが去年の7月だったか。どんな薬なんだか、良く知らない内に12月、新聞で宣伝が出た。広告主は僕の知らない薬屋さん(ギリアドサイ…