がん放置療法の波紋

去年は近藤先生のがん放置療法が話題になりましたが、先月、その近藤先生の信者(子宮癌、49歳女)が精神科に入院して来た。3年前に癌が見つかった時は手術を勧められたが、拒否。今年2月にメタメタで近くのホスピスに入院したんだけど、そこで「スタッフの態度が気に入らない」と騒ぎ出し、でも、家族が退院を拒否して、僕の知らない精神科開業医が「躁鬱病の躁状態」と診察して、当院に送って来た。同僚のM先生が担当し、「癌の治療や手当は何もしない」という事で入院を引き受けた。でも、子宮からの出血が続いて、貧血(Hb5.4)。当然全身倦怠感で、「苦しいので助けてくれ」、「せめて輸血でも」と本人、家族が言いだした。「治療拒否を撤回するから助けて」とスタッフにすがるが、「今さら何を」とM先生(多分意地になってる)。患者の姿は、所謂癌性の悪液質(カヘクシー)で中世の絵巻に出てくる餓鬼状態で、何かヘドロのようなニオイもする。精神科診断の適否は別にしても、可哀そうで哀れで見ていられない。そういや僕が学生だった頃、○○サナトリウムでこんな人々がいた事を思い出した。癌放置療法はやっぱりヤ・バ・イ・ぞ!!。中村仁一先生などあちこちで「死ぬなら癌で」と言いふらしているが、それは、年取って、「加齢現象としての癌は」、ということだと思う。僕は絶対引き受けないことにしましたね。