えっ?!

結構面倒見の良い家族と思っていた母が、K君(45歳男)のECT(電気けいれん療法)に難色を示した。ECTの評判が世間ではイマイチだから不安なのだろう、と思って会って話して見たら、「KがECTで良く成って、退院なんて事になったら実に困る。もう家にはKの居場所はない」との事。暫くこの母が何を言ってるか理解出来ず、10秒後に何を言ってるかは分かったが、僕が聞き違えた(この頃耳が遠くなった)と思って、2回聞き返した。母は恥じらう事もなく、はっきりと、真剣な表情で、断固とした決意で、同じ話を2回繰り返した。家には次男夫婦が同居していて、その嫁との約束で、Kは退院させないという事になっているらしかった。「良くなっても家族に相談せずに退院させることはしない」と約束した後に、K君はECTを受ける事になった。で、その3か月後、本人もイヤがる様子はないし、暴力的な所は軽減したので、病棟スタッフにも好評でしたが、残念ながら「退院」には程遠い状態でした。K君の母は、アンマリ効果のなかったK君を、ウレシそうに外泊に連れて行ったのでありました。親の愛って複雑ね。