うつ病の原因は不明、のはず

 先月高等裁判所で、事故で腰の骨を折ったことをきっかけにしてうつ病に罹患した原告の損害賠償事件の判決があったが、その判決は、原告のうつ病を事故と因果関係がある後遺障害と認めるものでありました。どの精神医学の教科書にも「うつ病原因は不明」と書いてあるはずでありますが、病気の原因を裁判官が決めてしまったこと自体もビックリですが、それに対して精神科医何の意見表明もしないことにもビックリしています。今だって胡散臭い目で見られることの多い精神科が、これ以上疑われたら学問として認められなくなってしまうのではないでしょうか? うつ病や自殺を労災と認めることが許されるのは、そういう法律の基準があるからで、労働時間と過労死や精神的疲労との客観的な相関関係がはっきりしているからであり、その場合でも証明出来るのは、あくまで相関関係(労働時間が増えると過労死する率が増える)でしょう。原告に同情するのは良いにしても、裁判官には科学的(論証可能)な世界で判決をして貰いたい、と思います。
 うつ病の治療まで裁判官がしてくれるなら文句は有りませんが ね。