病前性格

 精神病の原因は、教科書的には「不明」だけど、患者さんの発病前の性格が関連する、と言う「迷信」は根強く残っている。この前、某大学の教授も大勢の聴衆の前で、「うつ病には、成りやすい性格ってのが有るんですョ」って言っていた。確かに昔は、執着気質、とか、メランコリー親和性性格、とか言われていたけど、統計的には証明されていないのに…。その教授は「ドイツでは人格的に低レベルの人がうつ病になるってのが常識です」って続けていた。うつ病現役の僕としては、確かに自分の性格的な欠点が発病に関係していることは認めざるを得ない。でも、人格的に低レベルっていうのはアンマリの気がする。「世間があって、世間に適応出来ない人が精神病」とは定義だから認めるけど、その世間が正常なのかどうか、という問題はあると思う。ヒトラー東条英機は当時は精神病とはされなかったけど、当時の世間は間違いなく異常だったのだ。世間が異常な時に、その犠牲者として、誰かが精神病になるって事があるのではないか? 時代がおかしな時は、マトモな人から率先しておかしくなって行くのではないか?とも思う。ホロコーストで生き残った人達は皆「マトモな人は皆死んでしまった」と言っているし、実際生き残った人がイスラエルでやった事は、マトモじゃない。じゃあマトモな時代、マトモな世間なんて何処にある?と言われちゃうと、返す言葉はない。やっぱ、生物として生まれたからには、どんな環境においても、「適応してナンボ」なのは間違いない。でも、「うつ病になる」ことが生き残る手段なのかも知れないとも思っているのですね。