高齢者の運転
S氏は76歳躁鬱病男性、単身生活。片道2時間かけて自分で運転して当院に通院していた。この前来院した時、受付で転んで起きれなくなった。入院も勧めたが、「どうしても帰る」と言うので、皆で介助して車に乗せた。もう車での通院は無理だ、と皆思った。地域の包括支援センターに相談したら「実は地元でも困っている」との事。人身事故には至らないが、車でもあちこちでぶつかって、歩いても転倒するのだという。誰が説得しても聞き入れないので、「何とかなりませんか」と反対に頼まれたけど、彼の躁鬱病は寛解状態で、認知もない。唯の頑固者として扱うしかないのだ。その彼が突然死した。地域の民生委員が死後2日の彼を自宅で発見したらしい。病名は脳卒中と言う事。運転中じゃなくて良かったね。
道交法改正で認知症の診断を医師がすることになった。医師会は「かかりつけ医が引き受ける」と強気の姿勢。で、「手引き」と称するものを見てビックリ。診断は問診+HDS-R(長谷川式認知症テスト)だけなのだ。「HDS-Rを認知症の重症度の診断に使ってはいけない」、と作った長谷川先生も言ってるのにね。ゲームセンターのドライブゲームの方がナンボかましじゃあないですか? それにしても精神科医の影の薄いこと。精神科医って政治には無力なんだよね。患者には威張るのに。