地域移行出来ない訳

この頃あっちこっちから長期入院患者の地域移行の話が出る。年に1回、「この人はどうして退院出来なかったのか」理由を関係者の前で議論する事にもなっているし。その患者にとって「地域」って何処だい?と言う話から始めると終わらないので、症状が重度持続で、引き受け手がない、とか、本人が希望しない、とかが建前の話になるけど、ホントの所は、その症状云々より、彼らの周囲への暴力度、迷惑度の問題なのだ。慢性患者の幻覚や妄想は、幾ら表面には出てなくても、何時噴火し行動化するか分からない。閉鎖病棟で、常時監視していても、1年に数回は暴力事件・迷惑事件(社会的逸脱行為)が起こるのだ。いつ誰が暴れ出すかは分からないけど、必ず起こるのは間違いないのだ。さらに、「地域での暴力・迷惑は警察が扱います」などと言う保証が有ればいいけど、現実は、精神病患者と分かると警察も手を出さない。だから近所が困ってしまうのは間違いないので、退院させられないことになる。移送の話も、法律は出来たけど、現実には動かないしね。こっちは世界平和の為に患者さんを閉じ込めているつもりなのに、「出さないのは病院経営の為」とか、下司の勘ぐりをされるのは堪らないんですけど。。(写真は退院後大量殺人事件を起こし、死刑判決を受けた平野達彦)