お願い!信じて!

 臨床の医者は皆患者を最大限尊重しているものです。そう言っても一般の人は額面通りには受け取って貰えないんだけど、そういうものです。人間の生き死にを扱っていると、「生命の尊厳力」とも言えるような超人間的・超科学的なパワーを感じることが多く、それに対応するこちら側も不純な(世俗的な損得勘定の)気持ちでは仕事が続けられなくなるのだと思うのです。だから、どの患者にも誠意を持って対応しているのです。医は仁術はウソじゃないのです。それなのに、診察した患者の中にはその誠意が伝わらないあるいは誤解されていると感じることがあると辛くて、こちらの心が壊れそうになってしまうのです。でも、世間では、医は算術とか誤解されるのが寧ろ普通のようなので残念なのです。不信感を前面に出してくる患者がいると、げんなりしてしまいます。「信用出来ないのなら、他へ行ってくれ」、と言いたいことも多いけど、医師は患者を選べない(診察を希望する患者を拒んではならないー医師法第19条)からじっと我慢しなきゃならない。血圧が上がりますね。信じれなくても、せめて信じるフリをするのがエチケット、と思います。