上段勇士さんの自殺

 ニコンで働いていた派遣社員上段勇士さんの自殺会社に責任があるとして、勇士さんの母がニコンと派遣会社を相手に裁判を起こしていて、最高裁は会社の7千万円の賠償責任を認めた、というニュースがありました。勇士さんは昼夜2交代制勤務の過労でうつ病になり自殺したようなのですが、その、うつ病気づかなかった会社に過失がある、ということでした。うつ病だったと認定したのは、自殺前の本人と家族との会話などから裁判所が類推したようなのですが、それなら、家族は勇士さんのうつ病気づいていながら見殺しにした、ということになるのではないでしょうか? また、うつ病になっても自殺を思いとどまっている人が多いのに、うつ病になっても治療も受けずに自殺した勇士さんには責任はないのでしょうか? では、うつ病の治療中に患者が自殺したら、今度は医者の責任にするつもりでしょうか? メンタルヘルスケアを会社がもっと重視せよ、というのは良いけれど、自殺の責任を会社に擦り付けるようなこの最高裁の判決には、ちょっと付いて行けませんね。自殺すれば賠償金が貰えるってことになれば、むしろ自殺を奨励することになりはしませんかしら? 「自殺は神への冒涜」とは宗教家の言うことにしても、自分の命は自分で守る、が、生物としての最低の条件ではないのでしょうかしら?