水中毒は副作用?

慢性の精神病患者のかなりの率で、水を飲みすぎて、意識障害やけいれん発作をおこす人がいるが、この、水中毒は、昔は精神病の症状とされていたハズであった。それがいつの間にか、薬の副作用、ということになっているのは不思議なことで、患者を預かる身としては、やりづらいことはなはだしい。薬の副作用という言葉の定義が変わったようで、薬屋さんのする人体実験を厳しくチェックする為なんだろうけど、服用した人が訴えたことを全て副作用、と定義しちゃったもんだから、おかしなことになってきてる(例えば、睡眠薬の副作用が不眠、とか)と思うのです。
 先日も僕の患者が水を飲みすぎて、意識なくして連れてかれた某救急病院の某担当医が、普通に、精神病患者は衝動コントロールがうまく出来ないから適切な飲水行動も出来ないんですよ、と説明すれば良いのに、「薬の副作用」と説明したりするもんだから、説明を受けた患者・家族は、精神科医に不信感を持ってしまったのでした。その患者が今後もし薬を止めちゃったりして、そのせいで患者が再発したら某担当医はどう責任取ってくれるのでしょうか? せめて、「薬と関係あるかも知れませんよ」くらいにしといてもらはないと困るのです、ホントに。
 水をいくら飲んでも飲み足りなくなる薬、なんて、頭の良くなる薬、とか、恋愛感情を起こさせる薬、とか、そんな薬があると信じるのと同じレベルの馬鹿話だと思うのであります。 何事も、「○○でない」と証明するのは難しいから、水中毒が薬の副作用でない、とは確かに言いづらいけど、どうしても副作用と言いたいのなら、因果関係を明らかにしてからにして下さい、厚生労働省様&製薬会社様&某担当医様! 敬具