薬は減らせない

 今日、朝日新聞に「統合失調症患者さんの薬を減量しよう」という記事が出ていて、ビックリした。坑精神病薬の副作用は少なくないので、医者にとっても患者にとっても薬は少ない方が良いに決まっている。それでも一般な精神科医が薬物減量に消極的なのは、「薬を減らすと再発しやすくなる」ということが分かっているからである。エビデンス的にも、僕個人的な経験でもこれは間違いない。だから、薬を減らす時には「再発する覚悟はありますか」、「こちらが増やせと言ったら必ず言うことを聞いてくれますか」と患者や家族にシツコク確認してからになる。どうしてもある薬を減らさないといけない時にはスイッチ(別の薬に変える)をするが、そのスイッチでも結構冷や汗をかくことが多いのが現状と思う。
 「減量は可能」と豪語する名医は多いけど、「世の中名医ばかりではない」、ということは患者が知っておかなくちゃいけないことでありましょう。あと、こんな薄っぺらな記事が載るのには、裏に何か訳がありそうです。「どっかの薬屋の陰謀」と思うのは僕だけではないでしょう。同じ話をその会社のMRから聞いたばかりですョ。