18歳 自称うつ

 20歳未満お断りの僕の外来も、色んなつてを伝って、時に若い患者が紛れ込む。昔の僕は若い人のうつ病診断に懐疑的なだけでなく、所謂「児童思春期専門精神科医」たちの醸し出す濃いい雰囲気は反治療的であるとさえ思っていた時期があって、それは僕自身の問題である、と、今では分かっているのだけれど、いずれにしろ児童思春期は苦手なのであります。せめて児童思春期用の診断なり治療なりのガイドラインでもあれば、と思うのですがね。先日見た18歳うつ病は(本人がそう言っていた)、治療歴1年。中学時代から登校拒否で、高校中退。アパレル関係のバイトを転々としていたが、仕事でもプライベートでも人間関係が上手く行かない。それがうつ病のためと分かったのは良かったけど、薬飲んでもさっぱり良くならない、と母子でやってきた。飲んでる薬は抗てんかん薬と抗精神病薬であった。30分位話を聞いた後、「僕にはホントにうつ病かどうかも、薬で良くなるものかも分からない」といったら、先ず母が切れて、「この子がうつ病であるというのは間違いない、先生はそんな事も分からないのか」と。次に子も切れて「前の先生が休めと言ったから休んでいるのに、分からない、とは何事だ、余計苦しくなった」と2人で興奮し出し、何か汚いものを見るような目つきで僕を見て、帰っていった。僕の外来に何しに来たのか、何が問題で怒られたのか…。もしかして、その母子は前医に洗脳されいて、脱洗脳されそうになったので怒ったのかしら、とか、診察費払いたくなかったから、怒ったふりをしたのかしら、とか思ったけど、それもどうもね。ホントは僕がヤブ医だからなんでしょうけどネ、残念!