やばいよ!

 リストカット、それも手首の回り2/3位ぐるっと包丁で。正中神経はアウトで動脈が残ったのは奇跡的、という50歳男性が当院整形外科に入院した。「これ以上生きていても皆に迷惑掛けるだけだから死なして下さい」と。3か月前から精神科A先生(地域で自殺予防の専門家とされている)にかかっていたが、10日前に頭を壁にぶつける、と言う自傷行為で大学病院に入院。そこで診た精神科医が自殺予防で有名なB先生。渋る家族を説得して退院させたのはよいけれど、惨事はA先生に再診察を受けた次の日に起こった。A,B両先生の紹介状には両者とも“再自殺企図はまずないので、一般科での入院治療可能”と有りましたが、家族の話では、3か月前からずっと希死念慮はあった、と言う話。いつもの様に「…入院中の自殺ゼロは不可能」、と言ったら家族は、「A,B先生に自殺再企図は絶対ない、と言われている」と。でも「精神科に移しましょう」と提案したら「看護師が少ない病棟に移すのは納得行かない」、と、これは正論。で、僕には手が負えなくなったので、整外の先生に説得を代わって貰ってようやく転棟は承知してくれたけど、整外の先生の話では、A先生は家族に「再自殺企図はないし、手は動くようになる」と保障したらしい…「もう精神科医の言う事は信用しない」と家族は個室に寝泊まりする事になった。イヤハヤ、困った!