患者に殺されない方法

 先週、北海道の精神科の先生が自分の患者に刺し殺された。マスコミの話では、面倒見の良い親身な先生であり、刺された理由は全く不明、ということであるが、僕としては、「面倒見の良い親身な医者」ほど危ないのではないか、と思っている。精神病者の攻撃性は先ず患者自身に向かう(患者の死因の1割が自殺)が、その次には家族に向かう。家族の中でも母親が被害を受けることが多く、その後は、患者自身からの精神的距離が遠くなる程危険度が下がってゆくようであり、物理的距離は近くても、隣近所が被害者になることは少ないようである。だから、患者との精神的距離が近いような医者は家族の次にアブナイ、ということになる、と思う。
 では担当医はどうしたら良いか? 僕はその患者のキーパーソンと同じ程度にしか患者には近づかないようにしている。患者は大抵孤独で寂しそうであるが、で、「皆冷たいな、じゃあせめて自分だけでも・・・」と近づくのは危険と思う。拡大自殺としての主治医殺害。大抵の精神科医が患者には少し冷たく思われるのには、理由があるのです。物理的にも、患者さんとは腕2本分の距離が適切と思います。