過量服薬は精神科医のせい?

先日、僕の患者が服薬自殺企図した、と、救急車から搬送依頼があった。「急性薬物中毒は精神科では診られない」、と、もう何百回説明したことか! 世間に過量服薬は処方医の責任、と信じている輩は多い。薬がなきゃ飲まずに済むだろうに、ということらしいが、じゃ、アルコール中毒は酒屋の責任か?ということになる。薬あげなきゃ診療拒否だしね。自殺しようと薬を大量に飲んだ人の治療は大変なのは十分理解するが、医学的に誠実に対処しようとすれば、それは救命救急センターでないとダメだ。そんなことは、救急車の人だって知っている。それなのに、わざわざ連絡してくるのは、こちらに嫌がらせをしてるんじゃないか、と勘繰りたくなってしまう。実際、「責任とれよ」というようなことを言ってくる救急センターの担当医もいるけど、そんなこと言われたって、こっちだって困ってしまうのだ。只管平身低頭して、全て自分が悪いことにして、治療をお願い申しあげるしかないのであるが、腹の中じゃ、「そりゃお前の仕事だろ」と言いたくてしょうがないのである。
 責任者は患者自身であるのは間違いない。自己責任だから放っておけ、というのが僕の本音の本音である。僕は、自分の患者にはいつも「薬を過量に服薬したら、治療契約は解消します」と言っている(書いてもらうこともある)から、僕とその患者の関係は、理論的には、過量服薬した時点で終わりのはずである。その後その患者を診察した医者が、その時点で(暗黙ではあるが)新しい契約を結んだことになるのではないか、とかなり本気で、思うのです。外来患者の服薬量の管理まで精神科医が出来る訳はないではないか! 
'
PS:医者は生きたい人のお手伝いをするのが仕事でしょうに・・でも世間では死にたい人の面倒を看るのも精神科医なんでもかんでも精神科医、となってんだよね、ちくしょうめ。