退院させれば良いのか?

 近くの某精神科病院退院促進が進行中で、再入院を求めて当院に相談に来る患者が散見される。Tさん50歳はその病院に20年入院後、去年、「退院させられたけど、生活出来ないので入院させてくれ」と退院後2か月で家族と一緒に相談に来た。その時は、「せっかく退院したんだからもう少しがんばってみたら」と励ましたんだけど、そのTさんが先月当院内科に運び込まれて来た。衰弱し、全身筋肉痛で寝たきり状態であったが、始めの言葉が、「病院の何処でも良いからずっと置いといてくれ」であった。家族によると数カ月前から碌に食事も摂らず寝たきりで、主治医に再入院をお願いしても、「精神科的には問題ない」と断られたので、困って救急車を呼んだのだと言う。で、連れてかれた内科の病院でも「原因不明の筋肉痛」で退院を求められ、困った家族が当院の地域相談センターを訪れて、今回の入院の運びとなったということであった。入院後1か月をすぎても診断は不明のままで、寝たきり状態も同様であるが、少しづつ体重は回復しつつあるようである。Tさんは僕に会う度に、「退院しなけりゃ良かった。歩けるようになっても追い出さないでね」と訴え続けている。僕が若かった頃、長期在院患者をムリに退院させた際に、同様の症状を呈して再入院を希望した患者がいたことを思い出す。その患者は結局今でも入院中であるが、今でも「退院なんかするものじゃない」と言い続けている。以前も書いた(http://d.hatena.ne.jp/satochan8/20110112/1294826111#tb)けど、やっぱり
長期在院患者の退院促進反対