ホーディングディスオーダー、知りませんでした!

 精神障害の診断・治療には流行があるから、僕(年寄り非・専門医)は新患は診ないのが世の為人の為、と思うんだけど、若い先生の都合が悪かったりすると、新患を診させられる事になる。外来スタッフは新患を嫌がるのは「僕のサボリ癖」と気にしない様子なんだけど、これは患者の為にもならないと常ズネ思っている。先日診させられた新患さんは、他の病院でうつ病障害年金も貰ってる45歳男性で、姉がムリヤリ連れて来た。姉弟で住んでいる家が、「猫屋敷化してしまって困っている。そんな精神病があると聞いたけど、今の主治医は相手にしてくれないので連れて来た」と姉。主治医の紹介状には「うつ病で通院中。家族の希望で転院希望あり、ヨロシク」とたった3行。本人は「野良猫に餌やってたら自然に増えてしまって、でも、猫の始末にはお金が掛かると保健所に言われて、その金はない」と。で、僕は「そんな病気はない」と切り捨てて、捨て猫相談所を紹介して長い診察を終わりにしたんだけど、ちょっと気になってDSM-5を調べて見たら、何と、有りました!出来たての症状群で、ホーディングディスオーダー。貯め込み症、とでも訳すのでしょうか…。愕然、ア然、呆然自失!猫屋敷の住人も精神病扱いされる時代なのでありました。で、治療はやっぱり流行りの認知行動療法が推奨されるようで、こっちも愕然!!全く、老兵は消え去るのみでありました。