食事制限で低カリウム血症

 慢性の精神病で長期入院中の60歳男性Kさん。別に太っている訳でもないが、定期検査でコレステロールが異常値(LDLが136ml/dl)だったのが栄養士に見つかって、食事制限となった。オヤツも制限され、始めはしきりに空腹を訴えていたが、次第に慣れてきて、2か月後の検査では検査値は正常になり、めでたしめでたしであったが、4か月後より夜間不眠で徘徊中に転倒することが続き、次第に昼間も全身脱力で両下肢に浮腫が出現してきた。そのうち、ロレツも回らなくなってきたので、採血してみたら、なんとカリウム血症(3.2mEq/dl)。あわててカロリーを追加して、カリウム剤投与したら、数日で意識ははっきりし、1週間で浮腫は消失した。担当栄養士は「病院の食事制限で低カリウムは有り得ない」と不思議不満?)がっていましたが、臨床なんて、有り得ないことばかりでなのでありますョ。コレステロールは悪者扱いされることが多く、「低ければ低い程良い」とするデータもあるようですが、栄養失調で死んじゃうのはマズイですよね。Kさん、死ななくて良かったね。