刑務所ばなしは続く

 数年前の話。行き倒れの老人が救急車で運ばれてきた。「身体的には異常ないが、記憶喪失のようだ」と救急隊。診察するとどうも唯の認知症。警察に照会するも「該当者はいない」とのこと。行き場がないので当院で引き受けて、2か月後には老人ホームに移って行ったのだが、最近、その時担当してくれたケアマネに会った時話してくれたのだが、彼は実は当院に運ばれる4日前に、隣町の刑務所を満期で退所したばかりの人であったのだ。どうしてそんな大事な情報が病院に伝わらなかったのか、思わず声を荒げて聞いてしまったのだが、ケアマネは個人情報云々と誤魔化していたが、刑務所の出所を警察が知らない訳はないだろうし、大体あんな恍惚の人が刑務所の日課をこなせるハズはないのだ。さらに、引き受けた人がいるハズだろう・・。さらに何時も動きが鈍い市役所が今回に限って迅速な行動だった(すぐ生保にした)のも、考えて見れば、何かア・ヤ・シ・イ!! もしかして、真実を知らされなかったのは僕だけなのか?? 刑務所に問い合わせたのだが、「退所した受刑者に関しては、何もお答え出来ない」と言われてしまった。