偽・偽急性腹症者、死す

腹が痛い」と救急車を呼ぶが、搬送された病院で「異常なし」とされることが2週間続いて、遂に受け入れる病院が無くなって、ついに救急隊が対応に困って当院精神科に診察を依頼してきた50歳男。隊長が困り果て「連れて帰るから見てくれ」(こんな事は言われた事がないし、多分反則)というので、引き受けた。僕が見ても当然身体的異常はないので、帰したが、1週間後、今度は家族が外来に連れて来た。やっぱり僕の見た範囲では精神的にも身体的にも異常は見られない。家族が疲労困憊しているので、「精神科なら入院させても良いですよ」と病棟見せたら、本人は同意したが、家族が拒否し、帰って行った。で、次の週の外来日また家族が来たので「やっぱ入院か?」と思ったら、何とビックリ、患者は診察次の日に死んでしまっていた。で、「これはヤバい・訴訟モンだ」、と身構えたら、そうでなく、「お世話になりました」と言う話。家族が「どの病院も良く見てくれて」と言ってくれていたのでホッとしたけど、昔同じ様な患者を入院させたら、夜間にショックに陥り、外科医が開腹したら腸捻転だった患者がいた事を思い出した。色々思いは複雑だけど、取り敢えずは、<入院させなくて良かった>あたりが本音です。・・ご意見無用!