精神病の原因

 精神病の原因は教科書的には‘不明’と言わざるを得ないが、脳の器質的障害が基礎にある事を疑う精神科医は少ないと思う。昔から言われているのが、慢性アルコール中毒とてんかんだ。僕の患者にも統合失調症と区別のつかない例がどちらも数人いる。上の図がアルコールで、中央の図がてんかんの経過図であるが、以前記した統合失調者の経過図(下の図)とそっくりと思う。2例とも、初期は発作の時だけにあった幻覚妄想が、発作を繰り返すうちに発作以外の時期にも出現するようになり、そのうち幻覚妄想があってもなくても無為自閉の生活となっている。ポイントは、時期が過ぎると発作は全くなくても症状は進行している、と言う所であると思う。上図の人は断酒して30カ月後に奇跡の復活をして、その後断酒は続いていたのに被害妄想や幻聴が再発・悪化し、再入院したし、中央の図の人もてんかん発作は無くなったのに生活レベルは低下して長期入院となっている。でも、この因果関係を証明する検査等は全くないのである。症状を追い続ければ何か分かるのでは、と思っていたのであるが、症状はやはり単にうわべのことで、原因追究には余り役に立たないようなのでありました。残念