開口一番、「薬は飲みません」

 県立の精神科病院がスーパー救急病院化し、救急患者を取ってくれるのは良いんだけど、どんどん退院させるようにもなって、「退院後フォロー宜しく」の紹介状持って僕の外来にもやってくるようになったのは困ったことである。せめて数か月位は退院させた病院の、それも退院させた先生が診察した方が良いと思うのだけど、スーパー救急というのはそうも言ってられない様なのである。先日もその「宜しく」患者がやってきて、開口一番「薬は飲みません」、「僕は病気じゃありません」。慌てた同伴した家族が宥めても脅しても「飲みません」、「ありません」の二点張り。これじゃ治療契約もあったもんじゃないので、紹介元の医師に連絡取って患者様をお返ししようと思ったのですが、「県立病院が紹介したら民間病院は引き受けることになっているハズだ」とのお言葉。家族も「何とか飲ませます」と言うのでしぶしぶ薬を処方したのですが、その帰りに患者が逃走し、6日後に警察に保護され、「県立に連絡したらお宅の患者と言われた」と、警察の問い合わせ。ビックリして又紹介元の医師に連絡取ったら、「措置症状がないようなので民間病院が対応するするのが筋でしょう」とツレナイご返事。その後のドタバタは思い出すのもイヤになりますが、でも、こんな話は他にもあるようで、これからはこんなケースも想定しなきゃいけないらしいのです、イヤな世の中になりましたねェ。